マネクリを読んでいる皆さんの多くは、すでに投資を始めていると思います。しかし、なぜ投資をするのかという根本的な疑問を考えたことがある方は意外に少ないのではないでしょうか。

投資とはお金を増やすための行為、というのが一般的な理解だと思います。間違っているとは言いませんが、それだけではなく他にもメリットがあるのです。

投資には3つのメリットがある

私は、投資によって得られるメリットを3つに分けて考えるとわかりやすいと思っています。

1つ目は、言うまでもなくお金の不安を解消することです。資産運用をしなければ、リスクをとってお金を増やしていくことができなくなります。自分が稼いだお金を活用せず、そのまま貯め込んでいるだけでは、お金の不安はいつまでたっても解決することができません。

投資してお金にも働いてもらうことによって、自分が働くだけではなく車の両輪のように力強く資産を守り、増やすことができるようになります。

2つ目は自己成長です。資産運用は仕事と同じように、高度な知識が実際の経験で必要になります。お金について真剣に向き合い、ファイナンスの基本的な理論や、マクロ経済についての知識を身に付けることで、自分自身を成長させることができます。

そして3つ目のメリットが社会貢献です。自分が持っている金融資産を自分だけのために貯め込んでおくのではなく、投資を通じて社会に循環させる。それによって、お金が有効に活用され、新しい価値を生み出します。投資のリターンとは、そのような社会に対する貢献に対してのご褒美と考えることもできるのです。

お金の不安を解消するための3つのプロセスを知る

投資で一番大切な、自分のお金の不安を解消するというメリットですが、具体的なプロセスとしては、キャピタルゲイン、インカムゲイン、そしてタックスメリットの3つに分けて考えると分かりやすいと思います。

これらは順番に実践していけば良いとは限りません。3つを並行して進める場合も出てくると思います。しかし、資産ゼロからスタートするならキャピタルゲインを目指し、ある程度の資産規模になったらインカムゲイン、そしてまとまった収入や資産を実現できるようになれば、タックスメリットも合わせて考えていくのが良いでしょう。

(1)まずは、元本をしっかり増やす

資産をあまり持たず、お金を借りる信用力もない場合は、まず元本をキャピタルゲインによって増やしていくことが大切になります。

キャピタルゲインを狙える代表的な投資対象は株式です。個別銘柄で大きなリターンを狙うのも良いですが、私は銘柄選択をするよりも市場の平均値で確実にリターンが狙えるインデックス運用をおすすめします。

また投資のタイミングを考える必要がない投資信託の積み立てのような仕組みを使い、ドルコスト平均法で資産を積み上げていくのが良いでしょう。

(2)次に安定したキャッシュフローに変える

キャピタルゲインによる資産運用だけ続けていても、お金の不安は解消できません。なぜならキャピタルゲインを得るための投資は、価格の変動率が大きく資産の安定性に欠けるからです。

キャピタルゲインよりも、債券や不動産などの定期的に得られる安定したインカムゲインを中心に収益を狙う方が、収益が安定しお金の不安の解消につながります。

不動産に関しては、信用力によって金融機関からの借り入れを活用し、レバレッジをかけてリターンを向上させることも可能です。

(3)税金のことも先回りして考える

まとまった資産や収入を得られるようになると、税金も心配になると思います。脱税は論外ですが、合法的な節税は積極的に活用すべきでしょう。

金融資産であれば、NISAやiDeCoといった税制優遇の仕組みを積極的に活用しましょう。

また、一定の年齢に達すれば、相続についても後から後悔のないように先回りして考えておく必要があります。

残された家族がトラブルに巻き込まれることのないよう、遺産相続の方法についてクリアにしておくべきです。これは相続が発生してからでは手遅れですから、先手を打って対応しておくことが重要です。

日本ではいまだに「投資=ギャンブル」あるいは「投資のリターン=あぶく銭」といった偏見が残っています。投資とは、実は自分の知識や経験を活用して将来のお金の不安を解消する大切な行為です。そして、それが自己成長や社会貢献につながっていくと思います。

投資の3つのメリットを理解し、お金の不安を解消する具体的な方法について正しく理解することによって、自信を持って正々堂々と投資を続けていけるようにしましょう。