前回のコラムに引き続き、ロボアドバイザーについて、もう少し詳細にメリット・デメリットを見ていきましょう。

ロボアドバイザーのメリット

1.高度な投資知識は不要

多くのロボアドバイザーでは、運用前に現在の年収・金融資産・月々投資可能な資金・運用志向などをたずねられます。画面に従って入力していく単純な操作なので難しくはありません。

いくつかの質問に答えることで、入力後、様々な商品の組み合わせによるアセットアロケーション(資産配分)を個々にぴったりの投資プランとしてAIが提示してくれます。

様々な商品の組み合わせを「自分では考えられないし、面倒」と感じる方は多いと思いますが、リスク低減のためには分散投資は大切ですし必要なことです。どれだけの投資資金から始めるか、月々どの程度の投資資金をねん出できるか(月々積立はゼロも選択可)、を決めさえすればロボアドは始められます。

もちろん、その投資資金を決めるためには自身の資産の整理が必要です。ロボアドバイザー利用時に入力をスムーズに行うためにもいつまでにいくら殖やしたいのか、といった目標設定をしましょう。ロボアドバイザーの運用成果を見るのが楽しみになるはずです。

なお、プランは「確定」しなければ何度でも入力内容を変えて様々なプランを見ることができます。どんなプランが提示されるか、気負わず使い方を試すつもりで入力してみるのも良いでしょう。

2.手間がかからない

一任型のロボアドバイザーの場合、最初の手順を踏んでしまえば、あとはすっかりお任せできます。分散投資の配分が崩れると、配分比率が大きくなった資産を売却して、配分比率が小さい資産を買付する配分調整(リバランスといいます)を自動で行ってくれます。

3.感情に左右されない投資ができる

市場に参加している投資家の感情により相場は動き、「行き過ぎた」相場も形成されます。そしてその相場を見て右往左往してしまいがちです。投資格言があるのもそのためで、欲張りになる、諦めが悪い等々の感情があるのが人間です。動揺せずに投資を実践できることは強みです。

4.従来の投資一任サービスに比べて費用が安い 

こうした運用をおまかせできるサービスはインターネットやAIが普及する前から「ラップ口座」のような名称で存在しました。富裕層向けで手数料は運用資産の数%、利用可能最低投資金額が数千万からというものが主流でした。

インターネットとAIや金融ロボットの普及で現在各社が提供しているロボアドバイザー口座の手数料は下がり、投資金額も1,000円からできるものもあります。

手数料の概要に少し触れておきましょう。投資一任型の場合、預かり資産に対して●%という形で手数料がかかります。売買する都度の売買委託手数料や投資信託の信託報酬、その他の経費はかかりません。

投資商品の選択、投資、管理、リバランスなどを任せられることを考えるとコストはかなり安いと考えられます。アドバイス型の場合、サービスは無料で提供されますが投資、リバランスを行う手間がかかります。

ロボアドバイザーのデメリット

1.運用コストがかかる

費用が安い、と記したばかりですが、投資信託やETFには売買手数料がゼロ、信託報酬が格安のものが多く存在します。ですので、自分で選択すればかからない手数料がかかるとも言えます。

2.投資経験が身につかない

投資をロボアドだけに頼ってしまうと投資の勉強も経験もしないで済む、ということは、翻って言えば自身の投資経験としては身につかなくなります。

以上が、メリットとデメリットになりますが、ロボアドバイザーを利用したとしても短期で必ず利益が出るわけではありません。

相場の値動きによっては投資元本を下回ることもあり得ます。投資をする際には、ロボアバイザー利用に限らず短期の投資結果で一喜一憂しないようにしましょう。投資プランを決める際に収益性を求めるのか、元本の安全性を求めるのかなどの選択肢はあります。

投資をしないという場合は?

例えば利率0.02%の5年定期預金に100万円を預け入れると、5年後の受取利息(税引前)は単純計算して1,000円です。

投資をすると元本割れするかもしれませんが、大きく増える可能性もあります。年齢の若い方であれば長期で向き合え、チャンスもそれだけ増えます。老後資金は預貯金で運用するより増えている可能性にも期待ができるでしょう。

まずは一度、どのような投資プランが提供されているのかロボアドバイザーで体験してみてはいかがでしょうか。