高値更新が続くクロス円

米ドル/円は、これまでのところ111円手前で頭打ち、上値の重い展開が続いている。これに対して、米ドル以外の外貨に対する円相場、クロス円の主要な通貨ペアは、高値更新が続いている。

このようなクロス円の上昇は、株高、リスクオンが続いている影響ということが基本だろう。リスクオン局面では、基本的に先進国通貨、円や米ドルは売られやすい。米国の主要な株価指数が最高値圏で推移するなどリスクオン局面が続く中で、円、米ドルがともに売られ、それ以外の通貨が買われることで、クロス円上昇が続いているということだろう。

ただし、そのようなクロス円の上昇は、実は金利差との関係で見ると2つに分けられそうだ。ユーロ/円や英ポンド/円の上昇は、金利差からもおおむね正当化されそうであるのに対し、豪ドル/円の上昇は5月に入ってから金利差からのかい離が目立ってきた(図表1、2、3参照)。

【図表1】ユーロ/円と日独金利差 (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表2】英ポンド/円と日英金利差 (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表3】豪ドル/円と日豪金利差 (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

豪日金利差豪ドル優位は、3月以降基本的に横這いが続き、それは5月に入ってからも変わっていない。その意味では、豪ドル/円が一時年初来高値を更新した動きは、金利差では説明できるものではなかった。このように金利差から見ると「上がり過ぎ」の懸念がある豪ドル/円は、ユーロ/円などと比べると反落リスクも要注意ではないか。

クロス円が全般的に高値更新となっているのは、冒頭で述べたように株高、リスクオンの影響が大きいだろう。その意味では、この高値更新の流れが続くかを考える上で最大の鍵は株高が続くかということだろうが、それとともに豪ドル/円など一部のクロス円は金利差との関係にも注意が必要だろう。