決算期から配当金支払までの一般的な流れ

ご存知の通り、日本のほとんどの会社の決算期は3月です。通常、株主総会は決算から3ヶ月以内に行われるため日本の会社の株主総会は6月に集中することになります。言うまでもなく、株主総会では会社の重要な決定が行われ、5月から6月にかけて議案が発表され、株主には議決権行使書が届きます。また、この時期には決算発表や配当金支払いなどのイベントもあります。

決算発表は通常45日以内の開示が望まれていることから、5月中旬までに行われるのが一般的です。4月中旬から5月中旬のこの時期は決算の集中期になります。現在は四半期ごとに決算が発表されていますが、年に一度の期末決算では多くの会社がその次の期の業績予想を発表することもあり、特に注目されるところです。また、配当金の支払いは期末に多く実施することもあり、本決算時期の配当が注目されます。

つまり、3月の期末以降のスケジュールは以下のようになります。同じ3月期末の会社でも決算発表を早く行うなど、時期が若干異なることもあります。また、業績予想は会社によって発表しない場合もあります。ただ、概ねこういうスケジュールであるとご理解いただければと思います。3月末を例にとっていますが、日本の会社の場合、時期の関係は概ね同じと理解いただいて問題ないでしょう。

3月末:決算期末
4月中旬~5月中旬:決算発表(来期業績予想の公表)
5月中旬~6月中旬:議決権行使書の郵送、議決権行使
6月中旬~6月下旬:株主総会
株主総会前後:配当金支払い

任天堂の決算短信

2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、大きく時期が後ろ倒しになることもありました。2021年もそういう動きがありうると思いますが、2020年に比べると限定的でしょう。株主からすると、どきどきの決算発表とわくわくの配当金支払いが待っている時期ということになります。これらのスケジュールは通常決算短信に掲載されています。例えば、5月6日に決算発表を行った任天堂(7974)の決算短信を見てみましょう。

【図表1】任天堂決算短信
出所:マネックス証券「銘柄スカウター」

決算短信に「定時株主総会開催予定日」「配当支払開始予定日」が掲載されています。6月29日に株主総会が行われるようで、その場合は5月下旬から6月上旬に議決権行使書が株主の方に送られるかと思います。

イオンの決算短信

また2月が期末であるイオン(8267)の場合、5月26日に株主総会を実施します。議決権行使書は4月末には株主に送られたようです。イオンの場合はすでに議案も公式サイトに掲載されており、役員の選任と買収防衛策が議案になっているようです。

【図表2】イオン決算短信
出所:マネックス証券「銘柄スカウター」

株主の役割

これまでこの連載で述べてきたように経営者と株主の間に一定の緊張があることは株主ひいては会社にとっても良いことであることが多いように思います。選挙で選ばれる政治家であれ、上司が目を利かせる会社員であれ、視聴率を気にするテレビ番組のプロデューサであれ、世の中に一定の牽制が必要であるということへの反対は少ないと思います。

上場会社の場合、経営者の牽制は株主が担うもので、その最大の場が株主総会、そして最大の手段は議決権の行使です。すでに到着しているものも含め、これから株主の方には議決権行使書が多数届くと思います。そして、株主総会にまつわる議決権行使書は、先ほどのどきどきの決算発表、わくわくの配当金へと繋がっています。

次回は議決権行使について改めて見ていきたいと思います。