皆様は、GWはいかがお過ごしでしょうか?
5日の子供の日に新聞一面に「公的年金資金 株・債券以外でも運用」と、どんと見出しが出ていたのを見た方も多いかと思います。

公的年金資金を運用しているのは年金積立金管理運用独立行政法人(年金運用法人→ http://www.gpif.go.jp/jyokyo/index.html )で、厚生労働省から委託を受け、厚生年金と国民年金の積立金の半分強の運用をしています。
運用先は株式と債券に限っており、ポートフォリオは国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、短期資産の5つのアセットに分散されています。
その分散比率は長期的な安定運用を目標としていることもあって、かなり保守的な印象もあります。平成18年12月末時点で国内債券は50.50%を占めています。その結果、平成18年度第3四半期の運用収益は3.08%(修正総合収益率)となっています。厚生労働省は年金制度を維持するために必要な利回りを積立金の運用利回り3.2%としていますので、平成18年度第3四半期に限ってみれば達成できていないことになります。

公的年金という長期安定運用が必要、かつ運用利回りを上げなければならない・・・という厳しい状況で年金運用法人が導入を検討しているのが、6つ目のアセットクラスである「代替投資=オルタナティブ投資」での運用なのです。運用資産の抜本的な見直しをするのは2010年度ということですから、グローバルに動きの早い金融の世界から見ると、随分と気の長いお話ですね。
ちなみに運用ガイドライン( http://www.gpif.go.jp/kanri/pdf/kanri01.pdf) によれば、取引している金融商品の価格変動の危険防止のために限定して、(投機的な活用以外には)デリバティブの使用は既に認められています。
ここで登場している6つ目のアセットクラスは、新聞記事によると「不動産私募ファンド」「住宅ローン担保証券」「未公開株などへ投資する私募ファンド」などです。

リスクを逓減させ、安定的に利回りを上げる方法は、長期・分散投資が基本であることに変わりないのですが、分散先や、そのウエイトによって、運用実績は大きく変わってきます。
国民の年金を預かるという大きな使命を受けた機関も、分散投資を行う基本には則っているのですが、国内債券比率50%強というところを見ても、かなりリスク回避型の運用ともいえますね。もちろん長期といっても、全額まとめて何十年運用するのではなく、とくにこれから少子高齢化が進めば毎年給付額も大きくなるわけですから、安定的に分配するための運用ももちろん必要です。とはいえ、世界的にも低金利が続いており(中でも日本は超低金利のままです)、債券のウエイトが高ければそれだけ利回りは低くならざるをえません。

そうした制約の中で利回りを上げていくために、株式投資だけでは足りず、代替投資が必要であると判断されていることは大変興味深いことです。

世界的に株式の値動きは連動性が高まっており、たとえ国内外に分散投資をしても同方向に動くことも多くなっています。それは価格の変動幅を大きくすることにつながり、分散投資の一番の効果である相殺効果が弱まってきていることも事実です。
株式投資比率を上げれば単純に利回りが上がるというわけでもないのです。
だからこそ絶対収益を目指す運用をするオルタナティブ投資が、既存の金融商品の値動きとの相関が低いだけに相殺効果を高め、かつ利回りアップの原動力として期待されているということでしょう。
(マネックス・キャンパスにもレベル2のコースにも「絶対収益を目指すオルタナティブ投資」があります!もっと詳しく知りたい方はこちら
http://www.monex.co.jp/Etc/00000000/guest/G800/mu/mc_level2.htm )
オルタナティブ投資は、コストが高くなる傾向があり、流動性が限定されるなどの制約も多く、ポートフォリオのメインにするには向きませんが、ポートフォリオの一部に保有することの効果は高く、個人投資家もぜひ前向きに検討していく価値はあるのではないでしょうか。