クロス円の急落
今週に入り、クロス円の急落が目立っている。たとえば、豪ドル/円は、先週一時85円を上回るまで上昇したが、24日には82円台へ、最大で3%以上の下落となった。
ところで、年明け以降の豪ドル/円の上昇は、豪日金利差とある程度連動したものだった(図表1参照)。しかし、今週に入っての豪ドル/円急落は、そんな金利差で説明できる範囲を超えたものだった。
このような、金利差の変化を超える今週の豪ドル/円急落をもたらした一因は、原油相場などコモディティー相場の急落ではないか。代表的な資源国通貨である豪ドルは、資源価格などの総合的なインデックスであるCRB指数と一定の相関関係がある(図表2参照)。そのCRB指数は、今週にかけて急落している。
では、なぜCRB指数は急落しているのか。それは、基本的には「上がり過ぎ」の反動ではないか。CRB指数の90日MA(移動平均線)からのかい離率を見ると、一時記録的な「上がり過ぎ」となっていたものの、最近にかけてその修正が進んでいることがわかる(図表3参照)。
上記のように見ると、豪ドル/円の場合は、原油などコモディティー相場の「上がり過ぎ」に連れた動きの修正が入ったことが、今週にかけての急落の一因ではないか。ところで、90日MAからのかい離率を見ると、CRB指数の「上がり過ぎ」修正はまだ途上の可能性がありそうだ。そうであるなら、CRB指数のさらなる下落は、豪ドルの続落を後押しする可能性があるのではないか。
それにしても、豪ドル/円は、上述のように先週にかけて85円以上まで上昇する中で、52週MAからのかい離率が10%以上に拡大した (図表4参照)。経験的に、豪ドル/円は52週MAを10%以上上回ると天井を打つ。
以上のように見ると、このまま豪ドル/円がコモディティー相場や金利差などを材料に下落するようなら、先週の85円超を記録したところが、今回の豪ドル/円上昇トレンドの終わりだったということになる可能性もあるのではないか。