教育費を貯める手段として、学資保険や預貯金などを検討する方が多いようですが、最近は「投資」を取り入れる方も増えてきました。

教育費は「聖域」でもあるので、「投資で貯めるのはどうなの?」という意見もあるでしょう。一方で、逆に「15年以上も先に必要となる資金作りに投資を用いないのはもったいない」という見方もあります。

どう貯めていくかは考え方次第でもありますが、保険にある保障を望まず、お金を貯める目的として考えるのであれば、今は学資保険より投資のほうが良さを享受できると私は思います。

保障には保険、貯めるには貯金と投資の併用も

昔は「教育費を貯めるには学資保険」と考える人が多く、子どもがいる家庭の多くが学資保険を利用していたと思います。しかし、今は低金利の時代です。昔の学資保険のようにはお金が貯まらなくなってしまいました。ですから学資保険を「貯める」目的で利用することはお勧めできなくなりました。

子どもの医療保障や親に万が一のことがあった場合の養育年金などの「保障」が目的の場合は、検討するのも良いかもしれません。ですが、やはり「貯めること」と「保障」に目的を分けて、備え方を意識すべきだと思います。

そして貯めることを考えるのなら、「預貯金のみ」や「投資のみ」に偏って考えてはいけません。預貯金で足りない分を投資で貯めるなど、併用することを考えてもよいでしょう。

教育費づくりに併用したい投資は、個別株のようなリスクの高いものではありません。比較的リスクが少ない、国内でいえば日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)、米国ではS&P500など、その国の株価指数に連動することを目指しているインデックスファンドへの投資がシンプルで適しているように思います。

数年以内に使うなら預貯金、十数年先なら積立投資信託を検討しよう

教育費を使う時期によっても貯め方の考え方が異なります。もし、「3~5年以内に大学の初年度納入金が必要だ」などという場合は、迷わず預貯金で準備するべきだと感じます。インデックスファンドの積立投資をしても、大きく増やせる可能性があまり期待できません。

お金の必要な時と相場が下がっているタイミングが重なると、預貯金がしっかりとあれば問題ないのでしょうが、そうでない場合は途端に引き出しにくくなってしまいます。近い将来に必要な教育費は投資ではなく、生活費を見直し、預貯金で貯めていくことに意識を置いてください。

10年、15年先に必要な教育費は、前述したインデックスファンドを少額ずつ積み立てる投資を活用すると良いでしょう。つみたてNISAを活用し、非課税で運用していくのも非常に良いと思います。長期投資ですと複利の恩恵を受けられ、資産を増やせる可能性が高まります。

ただし、投資を活用するにしても、必要額の半分程度は預貯金で準備しましょう(「半分程度」と申しましたが、状況や投資経験などによって柔軟に変えて構いません)。教育費が必要な時にリーマンショックやコロナショックのような金融危機が起きてしまったら…ということも想定しておく必要があります。

「教育費」を分けて考えない貯め方も

教育費を「教育費用」のように色を付けて貯めることを好む方は多いと思います。日本は特にその傾向が強いように感じます。子ども用の口座に貯めたり、親名義でもその専用口座を作ったりする方もいます。

それはそれで良いと思うのですが、そのように明確に分ける貯め方が向かない方もいます。教育費用の口座にお金を貯めにくいという方は、無理に分けて貯めなくても構いません。一家の貯蓄と共に貯めていけば良いのです。私もその考え方を持っています。

家庭の中で「生活防衛資金」としての預貯金を持つでしょうし、将来の資産形成のために「投資」をするかもしれません。その中に教育費も含めて、流動的にしておくということが大切です。ただし、貯める目標額には、教育費分を上乗せすることが必要になります。

教育費を分けて貯める場合でも、必要な時期までに貯められない場合は、家庭の蓄えから出しますよね。それをもう少し緩和したかたちになるのですが、貯めるのが間に合わなかった罪悪感を持つのなら、区切らずに貯めても良いと思います。

ご自身、パートナーの考え方にあった教育費の用意の仕方を見つけていただきたいと思います。