家計を見直す際、毎月かかる固定費を改善すると、持続的な効果が得られて良いのですが、日々使う変動費も見逃せないものです。毎日のように支出する費目については、1週間単位で管理することを家計相談の場面や著書などで紹介していますが、なかなかうまくいかない方が多いようです。
「1週間単位の家計管理」の方法
支出には「年に1度支払うもの」、「月に1度支払うもの」、「毎日のように支払うもの」と、サイクルの異なるものが混在しています。この支払サイクルの異なるものをまとめて管理することは難しく、それが家計の乱れにつながっているケースもしばしば見られます。
それであれば、「年1度、月1度など比較的長い時間ごとに支払うもの」と、「毎日のように短期間で支払うもの」は別で管理したほうが、家計を管理しやすくなります。「短期間で支払うもの」に該当するのは、食費、日用品など日々の生活を送るのに必要な支出となります。この方法が習慣化できると、家計管理を簡単にすることもできます。その方法の手順は以下の通りです。
(1)管理したい費目(食費や日用品代などを合わせたもの)を5で割り(1ヶ月を5週間に見立てる)、1週間あたりの予算を出す。
(2)週の決まった曜日(例えば月曜日などを更新曜日とする)にその予算を財布に入れる。
(3)次の更新曜日になったら財布の中身を全部出し、新しい予算を入れる。
(4)週の途中でお金が足りなくなった場合は、翌週の予算から前借する。その代わりに翌週はその食い込んだ分を引いた、少ない予算でやりくりする。つまり、翌週でリカバリーさせるように努めるのです。なお、余れば貯金しても良いし、翌週に回す、好きなものを買うとしても良いのです。
(5)これを繰り返し、1週間の予算が余るようになれば、予算を今までの8割ほどに設定し直し、管理する。
上記を繰り返しているうちに、お金が減るスピードやリズムが把握できるようになり、「今週は支出のスピードが速い」、「節約がうまくいっている」などの状況が見えてくるでしょう。
失敗しやすい3つの特徴
次に、この支出の管理方法において、失敗しやすい特徴についてご紹介します。
予算が極端に少ない
予算を決めるときのルールを無視し、今まで週に2万円ほど使っていた方が急に「1週間1万円で生活してみよう」と少ない予算に設定する場合があります。そして、毎週予算を超えてしまうのです。これでは、予算内に収めることを達成できなかった残念な思いばかりが残り、次第にモチベーションが下がってしまいます。
リバウンド、もしくはストレスにより、さらに支出が増えてしまう結果にもなりかねないため、極端に少ない予算設定はお勧めしません。現状より支出を減らすには、徐々に慣らしながら減らすことを目標にするとよいと思います。
月に1度の支出には臨時的な支出が多く含まれている
1週間の予算は、日々使う支出に対して設定しています。それに病気やけがによる医療費、不定期に買うコンタクトレンズ代や娯楽費、交通費のチャージなども含めてしまうと、支出は簡単に予算を超えてしまいます。それで「今週も予算を超えてしまった…」などと悲しむのは話が違います。
1週間の予算を安定して管理するためには、その予算のお金を使ってよい支出費目を決めることも大切です。「食費」、「食費と日用品」などと設定し、それ以外は別に予算を立てて対応しましょう。
生活には毎日、毎週定期的な支出もあれば、予想していない時に発生する支出もあります。例えば子どもの学校の集金を忘れていて、急にお金を払うような場面もあるでしょう。
そのようなときのために「予備費」として月に1~2万円ほどの予算を立てておくと、毎週の支出も安定しますし、やりくりに必要以上に頭を悩ませることもなくなります。使わなければ、そのまま貯金や投資に回せば良いのですから、家計において無理のない範囲で予備費を設定してみましょう。
支出の中に「投資」がない
ここで言う「投資」はお金の使い方のことを表しています。私は以前のコラムでもお伝えした通り、家計管理では家計の三分法として、支出を「消費(生きるために必要な支出)」、「浪費(意味のない支出、ムダ使い)」、「投資(将来のための支出、預貯金・金融投資なども含む)」の3つに分けて管理することをお勧めしています。
1週間の家計管理をお伝えする際、トレーニングとして支出を分けてもらうことがあります。その際、支出管理で失敗する方は、その支出のほとんどが「消費」になっていて、「投資」に分類されるものがほぼないケースが多いように感じています。
「予算をなかなか守れない」、「節約しているのに上手くいかない」など、頑張っているはずなのに上手くいかない自分を認めたくない気持ちの表れなのかもしれません。また「浪費という認識で浪費ができる」方も少ないように思います。
予算を大幅に超えているのであれば、明らかに予算設定や管理方法(管理する期間など)などに、間違いがあるはずなのですが、それを直視できていないのかもしれません。
やり方を見直すことができれば、次第に投資にも支出が割り振られ、1週間の家計管理も上手くなっていくでしょう。管理力や判断力はすぐには身につかないかもしれませんが、じっくり進めば徐々に備わっていきます。諦めずにトライしてください。