東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に反発しました。日経平均は73円高の29,482円で寄り付くと取引開始から10分余りで130円高の29,538円まで上昇しましたが、上げ幅を縮め9時30分過ぎにマイナスに転じ9時40分過ぎに71円安の29,336円まで下落するとしばらく昨日終値を挟んで小幅に揉み合いました。しかし、前引けにかけて買いがやや優勢となり前場は51円高の29,459円で取引を終えました。103円高の29,511円でスタートした後場の日経平均は13時30分前に33円高の29,441円まで上げ幅を縮めましたが、切り返し大引け間際に196円高の29,604円まで上昇すると結局150円高の29,559円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。

2.個別銘柄等

武田薬品工業(4502)が3.2%高となりました。米バイオ製薬のモデルナ(MRNA)が開発した新型コロナウイルスワクチンの製造販売の承認を武田薬品工業が週内にも厚生労働省に申請する方針だと伝わったことが材料視されました。また、鉄鋼株が高く、国内大手証券が目標株価を引き上げた日本製鉄(5401)が6.8%高となったほか、JFEホールディングス(5411)が8.4%高、神戸製鋼所(5406)も9.1%高となり、神戸製鋼所は昨年来高値を更新しています。

さらに小売り銘柄に既存店売上高の結果を受けて大きく上昇するものがみられました。良品計画(7453)は2月の既存店売上高が前年同月比26.9%増と大きく伸びたことで一時3.8%高となり、子供服のナルミヤ・インターナショナル(9275)も2月の既存店売上高が前年同月比14.5%増と二桁の伸びとなったことで一時13.3%高となりました。セレクトショップ大手のユナイテッドアローズ(7606)やカジュアル衣料大手のアダストリア(2685)も高く、ユナイテッドアローズが一時4.6%高、アダストリアも一時4.7%高となりました。2月の既存店売上高はともに前年割れとなりましたが、1月よりも落ち込み幅が縮小したことが評価されました。エービーシー・マート(2670)も2月の既存店売上高の落ち込み幅が縮小したことで一時4.3%高となっています。

一方でアスクル(2678)が一時4.2%安となりました。2月の単体売上高が前年同月比2.1%減となったことが嫌気されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は150円高となりました。昨日に米国市場に先行する格好で下落していたこともあって買いが優勢となりました。節目の29,500円を回復しましたが、29,500円を超えるとやや上値が重くなり朝方は下落となる場面もありました。昨日は30,000円の大台にあと一歩に迫りながら届かないと下落に転じ下げ幅を広げましたが、4日にはパウエルFRB議長が米経済をテーマとする討議に参加するほか、週末には米雇用統計の発表を控えていることもあって積極的に上値を追いにくいということなのでしょう。

なお、日本時間の22時15分には2月のADP全米雇用リポートが発表されるほか、4日午前0時には2月の米ISM非製造業景況感指数が、そして4日午前4時には米地区連銀経済報告(ベージュブック)が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)