52週MAを上回ってきたトルコリラ/円

トルコリラ/円が、今週に入り一時15円を上回る動きとなった。ちなみに、トルコリラ/円の52週MA(移動平均線)は足元で14.8円程度なので、それを大きく上回り始めたことになる(図表1参照)。

【図表1】トルコリラ/円と52週MA (2010年~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

トルコリラ/円は、2014年から下落トレンドが既に6年以上も続いてきたが、その中で起こった一時的反発でも基本的に52週MAは超えられなかった。その意味では、52週MAを大きく上回り始めた最近の動きは、6年以上続いたトルコリラ/円下落トレンドではなかった現象である。そのため、トレンドが下落から上昇へ転換したことを示している可能性は注目されるところだ。

その一方で、最近にかけての急ピッチの上昇により、トルコリラ/円の90日MAからのかい離率はプラス10%程度まで拡大してきた(図表2参照)。これは、経験的には、短期的な「上がり過ぎ」懸念が強くなっている可能性を示している。

【図表2】トルコリラ/円の90日MAからのかい離率 (2000年~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

以上を整理してみよう。トルコリラ/円は、短期的な「上がり過ぎ」懸念が強くなっているといった意味では、目先的には上昇一服、反落リスクも懸念される局面を迎えている可能性がある。

一方で、これまで見てきたように、6年以上も続いた下落トレンドが、あの2020年11月の12円台で終わった可能性が出てきた。その意味では、この「コロナ禍」において、数少ない高金利通貨のトルコリラが、「下がったところでの買い」がワークする状況に変わった可能性にも注目してみたい。

トルコでは、2月18日に中央銀行の金融政策決定会合が予定されている。今回の会合では、今のところ政策変更は予想されていないようだが、政策金利は、2020年に8.25%から17%まで引き上げられている。