2020年の取引も残すところ大納会の1日だけとなりました。この原稿は12月29日の取引終了後に書いていますので大納会の結果は分かりませんが、12月29日の日経平均株価は大幅高となっています。

そうしたなか、これまでの値動きと、2021年の展望について解説したいと思います。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤い丸=埋まっていない窓

前回の振り返り

まずは前回の振り返りです。前回の執筆時点では、25日移動平均線を下回って終えており、「25日移動平均線上を終値で回復するようですと、下向きの5日移動平均線を上回ることが考えられます。そうするともち合いに戻ったり、11月2日以降のように、もち合いを上放れたりすることが視野に入ってくるのではないかと思われます」としました。

こちらで指摘した通り、25日移動平均線を上回ったあとじわじわと水準を切り上げ、もち合いに戻りました。また12月29日には新たな窓をあけて大幅高となり、約30年4ヶ月ぶりの高値水準で終える結果となっています。

新たに発生した窓の種類と意味

では今回新たにあけた窓の種類と意味について考えてみたいと思います。今回あけた窓の特徴を見ますと、12月29日取引開始時の価格が26,936円で、安値が26,921円となっており、12月に入ってから取引時間中につけた高値26,905円を上回っているのが分かります。

また、前述のように約30年4ヵ月ぶりの高値水準を更新したとなれば、株価の上昇が止まりそうな節目も、そこまで遡らなければ存在しないと考えられます。

では、この窓はどの種類の窓と考えられるのでしょうか。私の考えでは、この窓はブレイクアウェイギャップ(=突破する窓)ではないかと思われます。理由はすでにお分かりのように、高値となって上値をおさえていた水準を一気に上回って始まり、その後も上げ幅を拡大しているためです。

2021年の株価動向は?

では、今回発生した窓がブレイクアウェイギャップとした場合、2021年はどのような株価動向が想定されるでしょうか。

12月29日のように上放れた状態で新年を迎えることを考えますと、いつも解説しているように、上向きに変化した5日移動平均線や25日移動平均線上を維持できるかが注目ポイントになると思われます。

仮に5日移動平均線や25日移動平均線上を維持するようですと、数ヶ月以内に28,000円から29,000円に到達することが考えられます。

その反面、これら2本の移動平均線を下回って戻せないようですと、これまでの上昇の反動もあって、12月29日にあけた窓を埋めたり、75日移動平均線に接近するところまで下落が続いたりすることが考えられますので注意したいところです。

ところで2020年最後のコラムが、2021年の値動きに影響を与える可能性のある重要な窓の発生と、上放れで締めくくられたことは非常に感慨深いことです。

2020年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による株価下落の場面で多くの窓が発生し、株価回復の場面でも同じく多くの窓が発生しました。そのような中で、これまで解説してきた4つの窓のうちの1つであるブレイクアウェイギャップが発生し、約30年4ヶ月ぶりの高値をつけたのです。

こうした状況を踏まえますと、2021年も窓が上方向に発生すれば、上昇トレンドが継続することになりそうです。一方で、下方向に窓が発生するようになりますと、徐々に株価水準が切り下がることも考えられます。引き続き窓の発生とその種類を確認しながら、取引に役立てたいところです。