豪ドル/米ドルと金利差のかい離の是正
豪ドル/米ドルは、3月の「コロナ・ショック」で0.6米ドルを大きく割り込むまで急落した。ところで、この局面で豪米金利(10年債利回り)差の豪ドル優位は急拡大に向かったので、豪ドル/米ドルと金利差は大きくかい離した(図表1参照)。最近にかけて、豪ドル/米ドルは0.74米ドル前後まで反発したが、それはそんな金利差とのかい離が是正される動きでもある。
それにしても、なぜ3月「コロナ・ショック」で豪ドル/米ドルと金利差のかい離が急拡大したのか。別な言い方をすると、金利差豪ドル優位拡大を尻目に、豪ドル/米ドルは急落となったのか。
これを当時は、「キャシュ・イズ・キング」、究極の有事といえる「コロナ・ショック」で基軸通貨・米ドル買いが殺到したためと解説された。究極的な「有事の米ドル買い」の中では、金利差はほぼ完全に無視されたということだったのかもしれない。
以上のように見ると、「コロナ・ショック」一段落後、豪ドル/米ドルの反発が続いたのは、「究極の有事」一段落の後に、金利差からかい離した豪ドル安・米ドル高を修正する動きだったのではないか。
さて、「コロナ・ショック」前の豪ドル/米ドルと豪米金利差の関係を前提にすると、金利差が示す豪ドル/米ドルの水準は足元で0.75米ドル程度。つまり、「コロナ・ショック」後の豪ドル/米ドルと金利差とのかい離は、最近までにほぼ是正されたようだ。
「コロナ・ショック」後の豪ドル/米ドルの反発は、金利差とはほぼ無関係で、むしろNYダウなど米国株と連動してきた(図表2参照)。それは、「コロナ・ショック」での豪ドル/米ドルと金利差とのかい離が、株高トレンドが続く中で修正されてきたということだろう。
そして、足元ではそんな両者のかい離もほぼ是正された。金利差である程度説明できる状況に戻った豪ドル/米ドルは、「コロナ・ショック」前のように、金利差との連動性を強める状況に戻っていくのではないか。