資産運用で忘れがちなのが「管理」です。
相場の値上がり・値下がりには敏感でも、自分の資産全体がどうなっているのかを、きちんと管理できている個人投資家は意外に少ないのではないでしょうか。
きちんと資産管理をすることは、自分に万が一のことがあった場合、自分しか知らない情報を家族にどのように残しておくのがよいかを考えるきっかけにもつながります。
自分の資産全体をリストアップする
まず、資産管理でやるべきことは、自分の資産全体をリストにまとめることです。そして、そのリストは定期的にアップデートする必要があります。
金融資産であれば、口座を保有している銀行や証券会社の一覧を作ることが、最初のステップになります。
不動産などの実物資産を持っている場合は、物件の概要や権利書がどこにあるかを、明確にしておかなければなりません。
さらに、アンティークコイン、アート作品のような実物資産は、リストアップしておくことが必須です。本人以外、保有していることさえわからないという事態にならないようにしましょう。
相続上、海外資産の管理は難しい
円滑な相続に向けた準備で問題になりがちなのが、海外にある資産です。
例えば、ビットコインのような暗号資産が挙げられます。国内の取引所の口座であれば、証券口座と同じように管理しておけば問題ありません。しかし、海外口座になると口座番号が分かってもログインに必要な情報がわからなければ、資産内容を知ることができません。
また、海外不動産を個人名義で保有している場合、現地での相続手続きが必要になります。日本における相続手続きとは異なり、国によって必要な書類や手続きのプロセスが異なります。
これは、海外の相続手続きに詳しい税理士のサポートがなければ、極めて難しいと思います。
海外での煩雑な相続手続きを避けるためにも、海外不動産は国内の法人名義で保有するという現実的な対応もあらかじめ検討しておいたほうがよいかもしれません。
相続で家族に迷惑をかけないように先手を打っておく
残された家族が遺産相続で揉めたりしないようにするには、遺言書を作っておくのも1つの方法です。
遺言書を作成する場合、「公正証書」として作成しておくことが、後からのトラブルを防止するためにも大切です。2019年以降の相続法の改正により自筆証書遺言の方式も緩和されていますが、相続に強い専門家に相談し、準備しておくとよいでしょう。
長生きする人が増え、「人生100年時代」とも言われるようになりました。それとともに今後の日本においては、お金に関する家族のトラブルも増えていくと思います。
家族に無用な迷惑をかけないように、自分が元気なうちからしっかりと資産管理を進めておきたいものです。