トランプ米大統領の就任期間中の米国市場を見ますと、ハイテク株主体のナスダックがNYダウ平均よりも優位性を発揮し、特に2020年3月からの勢いが確認できます。それに連動したのが、ハイテク株の影響を受けやすい日経平均と新興市場のマザーズ指数です。

日経平均は上げ下げを繰り返しながらも、11月6日には29年ぶりの高値を更新しました。マザーズ指数は右肩下がりから3月以降で急速に盛り返し、2018年高値を更新し、足元は日経平均に追いついたタイミングであることがわかります。

気がかりなのはREIT指数の戻りが鈍い点です。何を示唆しているのでしょうか。これからも日銀による買い、分配金利回りの高さ、円高を背景にディフェンシブ性などからREIT指数が注目される局面はあると思います。しかし、2017年11月までのように株式市場は堅調な一方で、REITの低迷期間が長引く可能性があるので、早期の押し目買いには注意が必要です。

今週は10月の東京都心オフィス空室率が発表されます。9月のオフィス空室率は3.43%と2017年3月以来の水準に達し、7ヶ月連続の上昇となりました。特に渋谷区は4.48%と2014年2月以来の水準にまで上昇しています。REITの保有する全不動産に占めるオフィスの割合は概ね4割程度です。当然ながら東京など都市部が多く、大きな動きを見る上では都心オフィス空室率と賃料の動向に注目することが多いです。

不動産は解約までに時間がかかることもあり、景気に3ヶ月から半年遅行する傾向があると言われています。今も開発が進められる中、新型コロナウイルス感染拡大による過剰感もありそうで、ここからは注意が必要です。

米国のS&P不動産の2020年の動きを見ても、同じように戻りが鈍いのが見受けられます。

まだ先のことかもしれませんが、世界的に悪い金利上昇が起きると、さらに痛手になる可能性もあります。そのような事態を織り込み始めているのかもしれません。

【図表】REIT指数の戻りが鈍い
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成