軒並み52週MAに接近してきたクロス円

豪ドル/円の下落が広がってきた。29日には、6月下旬以来、約4ヶ月ぶりに73円割れ近くまで下落した。

ところで73円は、52週MA(移動平均線)の位置する水準でもある(図表1参照)。経験的に、一時的な豪ドル/円下落なら52週MA前後までがせいぜい。ただ、52週MAを5%以上といった具合に「大きく」、1ヶ月以上といった具合に「長く」下回るようなら、豪ドル/円はすでに上昇トレンドが終わり、下落トレンドに転換した可能性が高まる。

【図表1】豪ドル/円と52週MA (2008年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

このような52週MAとの関係は、豪ドル/円に限ったことではなく、主要なクロス円にほぼ共通したものとなっている。NZドル/円の52週MAは69円、ユーロ/円の52週MAは121円だが、2つの通貨ペアとも下落が続き、そんな52週MAに迫ってきた(図表2、3参照)。

【図表2】NZドル/円と52週MA(2008年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表3】ユーロ/円と52週MA(2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

過去の経験からすると、上述の豪ドル/円と同様に、主要なクロス円は軒並み一時的な下落か、継続的な下落トレンドへの転換かといった重大な岐路を迎えている可能性がありそうだ。

この背景には、株安が広がってきたことがあるだろう。株安、リスクオフ局面では、米ドル、円が買われる結果、米ドルと円の同時高でクロス円の下落が大きくなる傾向がある。

NYダウは、28日までの4営業日続落から、29日には5営業日ぶりに反発となるなど、まだ株安が一段と広がるかは微妙だ。そんな株価の動向は、豪ドル/円などクロス円の行方も左右することになりそうだ。