【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 28,679.81  ▼157.71 (10/13)
NASDAQ: 11,863.90  ▼12.36 (10/13)

1.概況

米国市場は新型コロナウイルスワクチンや治療薬の治験の中断が相次いだことで5日ぶりに反落しました。ダウ平均はジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)が開発中の新型コロナウイルスワクチンの治験の一時停止を発表したことから72ドル安でスタートし下げ幅を広げる展開になると、取引終盤には米当局が製薬のイーライ・リリー(LLY)に抗体治療薬の治験の一時停止を勧告したと伝わったことから一段安となり233ドル安まで下落しました。その後ダウ平均は一旦80ドル安程度まで持ち直しましたが、引けにかけて再び下げ幅を広げると結局157ドル安の28,679ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も12ポイント安の11,863ポイントとなりました。

2.経済指標等

9月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.4%上昇し市場予想と一致しました。また、変動の激しいエネルギーと食品を除いたコア指数は前年同月比1.7%上昇に止まり市場予想を下回っています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が下げ、金融が2%近く下落したほか、不動産とエネルギー、資本財・サービスも1%以上下げました。一方でコミュニケーション・サービスと一般消費財・サービスが上げています。

4.個別銘柄動向

アップル(AAPL)はイベントを開き高速通信規格の5G対応のiPhoneを発表しましたが材料出尽くしで2%を超える下落となりました。また、ジョンソン・エンド・ジョンソンは決算を発表し通期の利益見通しを引き上げましたが、新型コロナウイルスワクチンの治験の一時停止を発表したことで2%以上下げています。JPモルガン・チェース(JPM)も決算は市場予想を上回りましたが、先行きに慎重なコメントを受けて1%を上回る下落となっています。製薬のイーライ・リリーも米当局が抗体治療薬の治験の一時停止を勧告したと伝わったことで3%近く下げました。

一方でウォルト・ディズニー(DIS)が動画配信サービスのディズニープラスを軸とするメディア事業の再編を発表したことが好感され3%以上上げダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなっています。半導体メモリーのマイクロン・テクノロジー(MU)も投資判断と目標株価の引き上げを受けて2%を超える上昇となりました。

5.為替・金利等

長期金利は0.05%低い0.72%となりました。ドル円は105円台半ば近辺で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の23,500円を維持できるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)