株高で対円以外は米ドル安=逆相関関係続く株と米ドル

先週の米ドル/円は一時106円を上回ったものの、金曜日には反落。結果的には105円台後半中心に引き続き方向感の乏しい展開となりました。

これに対してユーロ/米ドルなどドルストレートは反発が目立つ展開となり、ユーロ/米ドルは1.18ドル台、豪ドル/米ドルは0.72ドル台にそれぞれ乗せて、今月の高値を更新しました。

このような、ドルストレートの反発をうまく説明できるのは株価の反発でしょう(図表1参照)。NYダウも今月の高値を更新し、約1ヶ月ぶりの水準まで上昇しました(図表2参照)。ドルストレートと米国株の高い相関関係、別な言い方をすると、米ドル安・米国株高といった米ドルと米国株の逆相関関係が先週も続いた形となったわけです。

【図表1】ユーロ/米ドルとNYダウ(2020年4月~)
出所:リフィニティブ社データを元にマネックス証券が作成
【図表2】過去3ヶ月のNYダウの日足チャート (2020年7月~)
出所:マネックス証券分析チャート

この関係がこの先も続くなら、米ドル安が続くかは、米国株高が続くか次第ということになります。では、米国株高はこの先も続くのか。

複雑な米大統領選挙と株価の関係

ところで、最近にかけての米国株高は、9月下旬に始まり、とくに9月末から目立ってきました。これは、米大統領選挙において、民主党のバイデン候補優勢が広がったことと、これまでのところは結果的に連動した形となっています。

たとえば、選挙予想の賭け率は、Real Clear Politicsによると、9月29日の第1回大統領候補討論会の頃は、バイデン優勢が10ポイント未満にとどまっていたのが、その後は急拡大に向かい、足元では30ポイント程度といった具合に大きく広がりました(図表3参照)。

【図表3】
 

以上のように見ると、大統領選挙でのバイデン勝利の見通しが強まる中で株高になっているように見えます。かつては、「トランプ再選なら株高、バイデン民主党政権へ交代なら株安」といった評価が一般的だったようですが、それが変わってきたのか。

ここに来て、「バイデン民主党政権誕生=株高」としてよく聞く説明は、「トリプル・ブルー(ブルーは民主党のシンボルカラー)」。大統領とともに上下両院とも民主党が過半数を占めることになると、政策決定がスムーズに進むことを好感した株高という意味です。

ただし、過去の実績を見ると、選挙前の株高は現職大統領に有利に働いてきました(図表4参照)。たとえば、前回、2016年の大統領選挙も、下馬評ではヒラリー候補が勝利し、民主党政権が継続するとの見方が圧倒的に多い状況が続きましたが、結果的には株価の回復が鈍い中で、歴史的大逆転のトランプ共和党への政権交代となりました。

【図表4】1980年以降の米大統領選挙
出所:マネックス証券が作成

そのような株価と大統領選挙の関係が今回も変わらないなら、バイデン民主党優勢を好感したとされる株高が、逆にまたしても大逆転のトランプ再選をもたらす可能性もあるのかもしれません。そうなった場合、株価はどう反応するのか?

米大統領選挙と株価の関係は、かなり複雑な可能性があります。それにしても為替、とくにユーロ/米ドルなどドルストレートの行方は、そんな米大統領選挙と米国株の動向が鍵を握ることになりそうです。