株安とユーロ安を考える

ユーロは23日、一時1.17米ドルを割り込むなど反落が目立ってきた。そこで今回は、なぜユーロ反落となってきたのか、ユーロはどこまで下がるかについて考えてみたい。

ユーロが反落したのは、米国株が下落に転じたためだろう。3月の「コロナ・ショック」が一段落した後のユーロ反発は、NYダウなど米国株反発と高い相関関係となっていた(図表1参照)。そんな米国株が最近にかけて反落となったことからすると、相関関係に大きな変化がなければ、ユーロ反落も当然の結果といえるだろう。

【図表1】ユーロ/米ドルとNYダウ (2020年4月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

では、そのようなユーロ反落はいつまで続くのか。これまで述べてきたことからすると、それは米国株反落次第ということになる。ただ別な観点で、たとえばユーロは最近にかけて空前の「買われ過ぎ」になっていた可能性があった(図表2参照)。その反動という意味では、ユーロ売りも相応に長く続きそうな予感はある。

【図表2】CFTC統計の投機筋のユーロ・ポジション(2010年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ちなみに、ユーロ/米ドルの52週MA(移動平均線)は足元で1.12米ドル程度(図表3参照)。これを大きく上方向にブレークしたのは、経験的にはユーロ高・米ドル安が継続的なトレンドとして展開している可能性を示している。

【図表3】ユーロ/米ドルと52週MA (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

そうであるなら、上昇トレンドにおける一時的な下落は、経験的には52週MA前後までがせいぜい。これを参考にすると、あくまで一時的なユーロ反落としても、1.12米ドル前後までは想定する必要がありそうだ。

その上で、52週MAを大きく、長く下回るようなら、経験的にはユーロ反落が一時的にとどまらず、すでに下落トレンドが展開している可能性が出てくる。今後のユーロ相場の行方を考える上で、一つの目安にしたいところだろう。

 

※明日9月25日(金)の吉田恒の為替デイリーは都合により休載とさせていただきます。