米ドル/円相場の2020年変動では2月20日から3月9日までの下落、3月9日から3月24日までの上昇で大きな亀裂が入る格好になりました。

重視してきた3つの相場水準:
(1)2019年5月31日実線と交わる遅行スパン108.483円
(2)2019年1月3日終値107.657円
(3)2019年6月25日安値106.778円
を、3月9日まで割り込み、3月24日までの上昇でこれらを上抜き、現在最も低い水準(3)を割り込みつつ推移しているわけです。

このようなケースでは、亀裂を成した高値もしくは安値を中心とする対等数値が重要な意味をはらむことが少なくありません。

【図表1】
出所:筆者作成(2020年9月1日)

こちらは一例ですが2011年大底での日足となります。
8月1日から大底まで65日、大底から2012年2月1日安値まで68日と完全な一致ではありませんが7月14日から78日、大底から78日目の2012年2月15日は同水準をつけていることがわかります。

さて、2月20日を中心、あるいは3月9日を中心とした時間関係は図のようになります。
2月20日を中心とした対等数値の関係で同水準をつけてきていることがわかりますが、8月28日陰線は現時点で安値決まり、高値決まりいずれの捉え方も可能な形となっているだけに、次の変化日として9月1日、9月7日が重要になってきます。

【図表2】
出所:筆者作成(2020年9月1日)
【図表3】
出所:筆者作成(2020年9月1日)

9月1日現在、日足実線は基準線と転換線に挟まれています。

二線を上抜くか割り込むかは目先の方向として大事ですが、より重視すべきは均衡表の受動的変化日に対する反応と言えます。

転換線は9月9日まで106.072円で受動的には動きません。基準線もまた7月31日から26日目9月4日まで105.618円で動かぬものの、9月7日変化日では106.075円まで上昇し、転換線とその日の実線に対する先行スパン上限とも交わってくることなります。

現時点で好転している遅行スパンも9月4日に7月31日実線と触れ、9月7日には好転継続か悪化かがはっきりしてくるでしょう。

また日足だけでなく週足でも重要な分岐点に差しかかっていることがわかります。

【図表4】
出所:筆者作成(2020年9月1日)

今週の週足転換線は105.988円ですが来週108.852円まで受動的に下げてきます。
また週足遅行スパンも今週3月安値の実線と交わってきましたが、よほどの上昇がない限り、週足遅行スパンは好転できません。

9月4日、7日を前に相場が動くようなら、細かく変化日までの騰落を勘案するということになりますがここでは9月4日、7日変化日からの方向を重視します。

9月7日以降の上昇、106.075円を上抜くケースでは8月6日、19日、28日の安値決まりがあります。したがって当面堅調な相場である可能性は高くなりますが、日足基準線割れでは下げ三波動を重視せざるを得ない格好になります。

9週足、26週足、9ヶ月足、26ヶ月足いずれも長期低迷時代を示唆していることを一応、念頭に入れておいてください。

さて、均衡表の基本事項となりますが前回、押し、戻りとして半値を重視すること、そして騰落値幅に限定するのではなく騰落時間の半値で押し戻りのポイントを見定めようという発想が均衡表発案の原点にあると述べました。

実はもう1点、非常に大事な考え方がありまして、それは基本数値の特徴を生かした線でもあるということです。

何度か述べていますが基本数値は9と26を絶対数としてこれらの組み合わせでなされる数、ということなります。
9、17、26、33、42、51、65、76、83、97、101、、、、
13、37、67、などもそうですが、相場の騰落数(日足、週足、月足いずれであれ)はいかなる数の集合体であっても基本数値に収束しやすい傾向があるのです。

【図表5】
出所:筆者作成

騰落数が基本数値になりやすいということはモミアイ相場AからGまでの数が基本数値になりやすいということにほかなりません。予め基本数値の半値を記しておけばGのポイントでは基本数値の半値と相場実線が交わる可能性は高いということになります。
また終値を基本数値分ずらした遅行スパンもまた相場実線と必ず交わってくることになります。

【図表6】
出所:筆者作成(2020年9月1日)

図は米ドル/円月足2010年10月からの底値モミ相場は26ヶ月後2012年11月からの上昇で上放れとなりました。

基本数値の中で26ヶ月の放れを「放れの典型」と見るわけですが、天井、底に至る騰落時間によっても底値モミのあり方は変わってきます。

【図表7】
出所:筆者作成(2020年9月1日)

図は英ポンド/円日足、3月9日からの底値モミと見れば(3月9日安値を相場水準と置いても良いし、この実線と交わる遅行スパン134.749円を相場水準と置いても良い)
76日目6月22日からの上昇、あるいは100日目7月24日からの上昇と見ることが出来ます。

いずれにせよ、均衡表は押し戻りとして方向性継続を判断するための線であると同時に、モミアイ相場の放れのポイントを見出すための線でもあります。

その意味を誤解して移動平均線と同じような活用をしないよう、よくご理解ください。