米ドル、ユーロ、円のポジション

8月19日、米ドル/円は105円割れ近くから106円台へ、そしてユーロ/米ドルは1.19ドル台半ばから1.18ドル台前半へといった具合に、米ドルが久しぶりに大きく反発した。基本的には、米ドル「売られ過ぎ」の反動が入ったということだろう。

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジション(主要5通貨=日本円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、加ドルのポジションから試算)は、先週にかけ20万枚近い売り越しとなった(図表1参照)。これは、2012年以来、8年ぶりの大幅な売り越しだ。

【図表1】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2010年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

米ドルは、3月末に「コロナ・ショック」の世界的株大暴落が一段落した後から下落傾向が続いてきた。そのように米ドル安が長期化する中で、米ドルもかなり「売られ過ぎ」懸念が強くなっているようだ。

ところで、そんな米ドルの「売られ過ぎ」観は、対象とする通貨によって差もありそうだ。CFTC統計の投機筋のポジションを参考にした場合、最も米ドル「売られ過ぎ」懸念の強いのは対ユーロだろう。ユーロの(対米ドル)ポジションは、先週にかけて売り越しが約20万枚に達した(図表2参照)。これは、確認できる限りで過去最大の売り越し。

【図表2】CFTC統計の投機筋のユーロ・ポジション(2010年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

では、円はどうだろうか。CFTC統計の投機筋の円ポジションは先週にかけて3万枚弱の買い越し(図表3参照)。これは、2020年の買い越し最高すら下回っている。

【図表3】CFTC統計の投機筋の円ポジション (2015年~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

以上のように見る限り、米ドルの「売られ過ぎ」の修正は、対ユーロでの動きが一つの目安になるのではないか。