米ドル/円は106円攻防に注目
先週の米ドル/円は105円台後半中心の一進一退の展開となりました。相変わらず、米ドル/円を見ると、先行き上がるか下がるか、判断が難しいと言えそうです。ただ、対円以外では米ドル安の行き過ぎ懸念が強まってきたようです。
たとえば、ユーロ/米ドルは7週連続の陽線(ユーロ高・米ドル安)となりましたが、これは2010年以降では2017年12月~2018年1月にかけて記録した連続陽線と並ぶ最長記録です(図表1参照)。また豪ドル/米ドルは8週連続陽線(豪ドル高・米ドル安)となりましたが、これも2010年8~10月にかけての連続陽線と並ぶ2010年以降の最長記録です(図表2参照)。
このように、ユーロ/米ドル、豪ドル/米ドルがともに過去10年で最長の連続陽線記録になったということは、逆にそろそろいつ陰線に転換してもおかしくないタイミングを迎えている可能性があると考えることができるでしょう。米ドルの側からすると、いつ米ドル高に転換してもおかしくないということになるでしょう。
また、このようにユーロ/米ドルが記録的な続伸となる中で、ユーロ「買われ過ぎ」、米ドル「売られ過ぎ」懸念も強まってきました。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋のユーロ・ポジションは、確認できる限りで最高の買い越し(米ドル売り越し)となっています(図表3参照)。
また、豪ドル/米ドルでは、短期的な「上がり過ぎ」懸念が強まってきました。豪ドル/米ドルの90日MA(移動平均線)からのかい離率は、一時プラス10%近くに拡大、これは経験的には「上がり過ぎ」懸念が強くなっていることを示しています(図表4参照)。
3月の「コロナ・ショック」とされた世界的な株大暴落が一段落した後から、為替相場では米ドル安が広がってきましたが、そのリード役ともいえる対ユーロ、豪ドルでは、以上見てきたように米ドル安の「行き過ぎ」の可能性を示す兆候が目立ってきました。その意味では、米ドル安トレンドは続くとしても、その中での「第一波」は終わる可能性があるのではないでしょうか。
かりに、対ユーロ、豪ドルでの米ドル安が一段落、調整局面入りとなった場合、それは米ドル/円にはどう影響するか。米ドル/円については、引き続き106円という水準との関係に注目したいと思います。
106円は、長期三角保ち合いの下限に位置する水準です。7月までこの保ち合い内で推移している間、米ドル/円は方向感のない小動きが続きましたが、7月末にかけて106円を割れると一時104円割れ寸前まで下落加速となりました。
以上を参考にすると、米ドル全体の動きとは別に、米ドル/円の場合は、106円を下回っている間は下落リスク要注意、106円以上を回復すると下落リスク後退といった考え方が基本になるのではないでしょうか。