バーチャル株主総会に先日初めて出席しました。私は米マスターカードの社外取締役をしているのですが、昨今の状況から、今回はバーチャル株主総会になったのです。アメリカの株主総会は、私の知る限り、ウォーレン・バフェットのバークシャーハサウェイやディズニー等を除いて、実は出席者も大変少なく、短い時間で淡々と終わる総会です。日本の株主総会のような規模も、独特の緊張感も、長時間に及ぶ質疑応答も、まずありません。何故なら、株主と企業の間の対話は一年中、しかも深く行われており、総会の前までに、既に対話は済んでいるのです。ですからバーチャル株主総会になっても、内容は今までとほとんど変わりませんでした。

日本の事情は違います。コーポレートガバナンス改革が推進されてきた中で、株主(投資家)と企業の間の対話は進みましたが、総会に向けての準備の面も強く、対話の内容も総会議決事項とその周辺が多くなりがちです。アメリカに於ける対話は、ビジネスモデルの転換など、多岐にわたります。そして繰り返しますが、通年で活発に行われていて、総会までに十二分に対話は済んでいるのです。

翻って、日本に於いては、逆説的な云い方になりますが、株主総会は、とっても重要なのです。或る意味で残念ながら、株主総会こそが、株主と企業の接点・対話を考える上で、最も重要なイベントなのです。日本に於けるバーチャル株主総会は、その点に良く留意して、開発・実行していくことが肝要だと思います。私たちも、日本に於けるエンゲージメント、アクティビズム(株主の活動)を、もっともっと盛り上げていきます!