資産運用における最も重要なポイント

資産運用で思うような結果が出せないのは、やり方を間違えているからです。受験勉強しても成績が上がらないのは、出題ポイントを押さえていないから。資産運用もこれと同じで、ポイントを押さえなければ運用成績はアップしません。

長期の資産形成で大切なポイントは、値上がりする銘柄を見つけたり、タイミングを考えたりすることではありません。自分の資産全体をどうバランスさせるかを考えることです。

この「アセットアロケーション(資産配分)」こそが、資産を守り増やすために最も重要なことなのです。

自分の資産全体をざっくり把握する方法

アセットアロケーションを考えるには、大雑把で良いので自分の資産全体の状況を捉えることが大切です。

例えば、手書きで上下の上段を円資産、下段を外貨資産とし、左右の左側を金融資産、右側を実物資産と分類すれば、 2 × 2のマトリックスを作ることができます。円の金融資産、円の実物資産、外貨の金融資産、そして外貨の実物資産の4つです。

さらに、現金や普通預金のように運用していない待機資金を、5つ目の分類先とします。

5つの箱ができたら、それぞれに今持っている自分の資産を振り分けていきます。

振り分けが終わったら、全体の資産の中で5つの箱のそれぞれの比率を計算してみます。このような大雑把な資産の分類だけでも、自分の資産運用の問題点が見えてくるのではないでしょうか。

外貨資産の割合はどの位がいい?

日本人の個人金融資産は9割以上が、円資産に偏っています。これは円高になればメリットですが、円安になれば貨幣価値の下落と共に資産価値が下落していくことになります。

もし、これから円安になるのか、円高になるのか全くわからないと言うのであれば、円資産と外貨資産を50%ずつ保有するのが合理的だと私は考えています。

円安を想定している人は、円資産よりもむしろ外貨資産を多く保有すべきでしょう。私も円高より円安を想定しているので、外貨資産の比率をやや高めに60%くらいまでとしています。

リスクを取らないリスク

資産のほとんどが、5つ目の箱(現金や普通預金)になっている場合、一見リスクがないように見えます。しかし、「リスクを取らないリスク」が発生していることに気をつけるべきです。

円の現金や預金は、円安やインフレに対して脆弱です。元本が減る事はありませんが、円安になればグローバルに見た実質価値は下落しますし、インフレになれば購買力が低下してしまいうからです。

リスクが無いと思っていたら、気がつかない間にリスクを取っていることになるのです。

実物資産と金融資産に分散するメリット

また銀行や証券会社で取り扱っている金融資産だけではなく、不動産などの実物資産を組み合わせることで、リスク分散をさらに進めることができる場合があります。

実物資産は投資単位も大きく、金融資産に比べ投資対象としてのハードルが高い資産です。しかしながら、リスクの異なる資産を組み合わせることによって、資産全体の変動率をコントロールすることができ、資産運用の成功確率を高められると思われます。そのためには、様々な資産の正確な情報を収集する好奇心が大切です。

アセットアロケーションは、簡単なようで作成するのに時間がかかります。しかし一度作ってしまえば、頻繁にマーケットをチェックする必要もなく、資産を守り増やすことに役立つのです。

多くの個人投資家は、銘柄選択や売買タイミングを考えることにばかり時間をかけていますが、アセットアロケーションにもっと時間をかけて取り組めば、運用成績は改善するのではないでしょうか。

簡単でも良いので、まずは自分の資産全体の「見取り図」を作ってみてください。