昨日の米株式市場は、新型コロナウイルスの第二波に対する不安から、大きく売られました。CDC(米疾病対策センター)所長が以前、第二波が今度の寒い時期に来ると、インフルエンザと重なり、第一波よりも深刻な医療崩壊を起こす、などと発言したことの記憶が呼び覚まされ、不安は恐怖となり、一方、実体経済が大きな問題を抱える中で、膨大な流動性供給と財政出動を背景に、資産インフレ的に株価が大きく戻し、NASDAQに至っては史上最高値まで上がっていたことから生まれていた高値警戒感に火が点き、若干パニック的な心理から、株式市場は大きく崩れました。その煽りも受けて日本株も売られましたが、問題はここからです。

実体経済と株価の乖離は、或る意味当たり前です。バブル崩壊後日経平均が4分の1になった時に、日本経済も4分の1になった訳ではありません。GDPはほとんど変わりませんでした。これだけの流動性供給があれば、株価というお金の現象が上がるのは、合理的です。ですから問題は新型コロナウイルスに関する心理です。

第二波が来る不安は、デモ活動や経済再開の中で、ソーシャル・ディスタンスが取られなくなって来ていることが原因ですから、自分たちで止めることもできるけど、それにはストレスもあるし経済が停滞するので、中々大きなジレンマがあると思われます。必ず効く薬を開発することも難しいでしょうし、最後はこの新型コロナウイルス肺炎を、通常のウイルス性の風邪や肺炎として、普通にある病気の一つだと、アメリカの人が思えるようになれるか否かなのかも知れません。人間は忘れる天才であるし、とても強い動物で、幾多の苦難を乗り越えてきたので、私は楽観していますが、暫くはアメリカ市場を注意深く見守りたいと思います。