前回まで6月1日、4日、8日を重視し、上げても上値は限定的であり方向性が明確化するのはまだ先であると述べました。実際の変動は6月5日109.846円までの上昇となったものの上昇継続ならず日足転換線水準まで下げる結果となっています。

6月5日高値は5月7日起点の三波動計算値E110.178円に達しないもののN109.172円は上抜き、また4月6日高値も上抜いていることで一応の上昇力を評価出来ますが、終値ベースで見ればN達成後の下落となります。

また週足、月足では週足遅行スパンに対する相場実線高値が109.704円、月足遅行スパンに対する転換線109.683円ですから結果的にはこれらに頭を押さえられる形となっています。

5月7日からの三波動構成では9日、9日、9日の6月10日、17日、17日の6月22日が変化日となりますが、転換線を割り込むようではやはりモミアイが強調されます。

図表1をご覧ください。
重視する相場水準は3つです。
(1)2019年5月31日実線と交わる遅行スパン108.483円
(2)2019年1月3日終値107.657円
(3)2019年6月25日安値106.778円

【図表1】
出所:筆者作成(2020年4月14日掲載分より引用)

(2)を中心として(1)、(3)は同程度の値幅となっています。このように相場水準が重複するケースでは非常に多く見られます。

相場の方向を成す典型的な形としては(1)を上抜き(1)を押し目とする上昇、(3)を割り込み(3)を戻りとする下落となります。

しかし、直近変動では(1)水準を上抜き日足転換線108.462円(すなわち(1)水準)で留まっているわけであり、今後(6月10日、11日以降)受動的に上昇する均衡表(基準線、転換線いずれも)にそって上げるようならば5月7日起点の上げ三波動重視となります。

ここまでのコメントを書いている間に転換線を割り込み基準線107.917円まで下げてきてしまいました。これでは上げ三波動継続は難しいといえます。基準線割れでは下げ三波動を重視せざるを得なくなります。

6月5日は2019年1月3日から370日目、2018年高値から2019年8月安値までの下落日数369日に対し1日違いであり、ここでの高値決まりと(2)水準割れでは3つの相場水準が並行しているとは言え、下げ三波動とせざるを得ません。

ただその場合も3月24日から33日、33日で6月22日が変化日となりますし、(3)水準で止まる可能性も残りますから明確な下げとはなりにくいということです。

【図表2】
出所:筆者作成(2020年6月9日)

9週足、26週足、9ヶ月足、26ヶ月足はここまでどうなっているかも確認しておきましょう。

【図表3】米ドル/円 9週足
出所:筆者作成(2020年6月9日)

9週足は昨年末から陰陽数は5本以上連続がありません(モミアイ相場ということでもあります)。先週まで2陽1陰、2陽ですが今週陽連続くようなら9陽連となる可能性があります。今週108.415円以上で陽連となりますが6月9日現在この水準は割り込む結果となっています。

先に述べた(1)から(3)の水準を超えているか割っているかで陰陽数が大きく変わってくることになりますが(1)の水準を上抜いて推移なら9陽連(上げ時代を示唆)、(3)水準を割り込めば9陰連(下げ時代を示唆)ということも9の遅行スパンを見ればわかるでしょう。

【図表4】米ドル/円 26週足
出所:筆者作成(2020年6月9日)

26週足は37陰連と大きな陰連数(2015年高値からの下落過程で出現)を出したのち9以上の陰連、陽連を出していません。先週の上昇で7陰連後の陽転となりましたが先週高値を上抜かねば陽連継続とはなりません。(2)水準より下の水準で推移するようなら今一度9陰連以上を出してしまう可能性があります。

【図表5】米ドル/円 9ヶ月足
出所:筆者作成(2020年6月9日)

9ヶ月足は42陽連の後陰連数が勝る形で推移しています。直近は13陰連から5月陽転しましたが6月108.079円以上、7月109.501円以上でなければ陽連継続はありません。(1)水準を割っていては陰連が続くことになります。

【図表6】米ドル/円 26ヶ月足
出所:筆者作成(2020年6月9日)

26ヶ月足は45陽連、1陰、3陽連(この陽連は2015年6月安値から12月高値までの上昇過程で出現)から17陰連、7陽連、15陰連を経て5月まで2陽連となっています。6月109.308円以上、7月108.501円以上でなければ陽連継続とはならず、やはり(1)水準より下では好転の芽も遠のくことになります。

これらを見る限りやはり下げ時代継続中であり容易なことでは陽連時代を迎えることが出来ないことが判ります。

日足基準線、週足転換線割れの値段はともかく変化日までの下落、現在位置から上げるとすれば基準線が受動的に上昇するタイミングに合わせて上げてくるはずです。その場合は同じく上昇する日足転換線を上抜けるかどうかが大事となります。一旦上昇あれば7月変化日からの再出発に可能性が残ることとなるでしょう。

 

※本文ならびにチャートの時間軸は取引日で作成しています