豪ドル「上がり過ぎ」の再検証
豪ドルの「上がり過ぎ」懸念が強くなってきたというレポートを前々回書いた。ただ、5日の米雇用統計発表を受けて、豪ドル高傾向は続いたので、当然だが、「上がり過ぎ」懸念は一段と拡大した。
豪ドル/米ドルの90日MA(移動平均線)からのかい離率は、足元で8%以上に拡大した(図表1参照)。2000年以降で見る限り、同かい離率が±10%前後に拡大したケースは少なかった。その意味では、かなり「上がり過ぎ」懸念が強くなっている可能性がありそうだ。
【図表1】豪ドル/米ドルの90日MAからのかい離率(2000年~)
では、豪ドル/円の90日MAからのかい離率はどうか。こちらは、いよいよ10%を上回りそうになってきた(図表2参照)。ちなみに、同かい離率が10%以上に拡大したのは、2000年以降では4回しかなかった。その意味では、足元の豪ドル/円の「上がり過ぎ」は、5年に一度あるかどうかといった出来事といえるだろう。
【図表2】豪ドル/円の90日MAからのかい離率(2000年~)
ところで、豪ドル/円については、前々回のレポートで金利差との関係について確認した。雇用統計の結果を受けて、リスクオンが拡大、それにより豪ドル/円も76円を大きく上回ってきたが、それは金利差との関係が一段とかい離する結果でもあった(図表3参照)。
【図表3】豪ドル/円と日豪金利差(2019年7月~)
さて、最後に代表的な資源国通貨である豪ドルへ影響の大きい原油、WTIについても見てみよう。WTIの90日MAからのかい離率は、プラス20%に接近してきた(図表4参照)。あの前代未聞のマイナス価格を記録した時からまだ1ヶ月余り過ぎたばかりなのに、異常な「下がり過ぎ」から「上がり過ぎ」に一変してきた。
【図表4】WTIの90日MAからのかい離率(2000年~)
以上をまとめると、豪ドルも、それに影響の大きい原油も、「上がり過ぎ」懸念が一段と強くなってきたことは、意識する必要があるのではないか。