アクティブ運用でインデックス以上の成績を上げるのは少数派

このコラムをご覧の方はご存知かもしれませんが、私はアクティブ運用に関して懐疑的な「インデックス投資派」です。

私は個別の株式を個人投資家が銘柄選択して投資をすることは、お薦めしていません。なぜなら、個人投資家が本業の片手間に情報収集したところで、プロの投資家を超える高い収益を継続してあげられる可能性は低いと思うからです。

そのプロの投資家にしても、運用しているアクティブ運用のファンドで、インデックスに勝てるものは半分以下ではないでしょうか。個人投資家が良いファンドを選択するのは簡単ではありません(また、信託報酬などの運用コストが比較的高いことが多いのも、個人投資家にとってはアクティブファンドが不利な要因と考えられます)。

個人投資家で「億り人」になった人や、ファンドマネージャーでインデックスを上回る高いパフォーマンスを実現した人。これらは、全て「少数派の成功例」と思った方が良いと思います。

カリスマ投資家ウォーレン・バフェット氏も最近の運用成績は低迷

アクティブ運用で長期にわたって実績を上げた人と言えば、誰もが思い出すのが、アメリカのカリスマ投資家ウォーレン・バフェット氏です。

日本経済新聞社の記事によるとバークシャー・ハサウェイという会社を使って投資を行い、過去40年を超える長期にわたりアメリカのインデックス(S&P500)を上回る実績をあげてきました。しかし、ここ10年の運用成績を見ると、インデックスを下回ったとのことです。

ウォーレン・バフェット氏は89歳。「カリスマ」といえども、年齢による衰えには勝てませんし、いつかはマーケットから引退することになります。

バフェット氏のように卓越した才能と努力によって素晴らしい運用成績を出すことができたとしても、もし属人化された資産運用をしている場合、それを継続する仕組みを作ることは、極めて困難なことと考えられます。

投資信託の世界にも、かつて天才ファンドマネージャーと呼ばれたフィデリティのピーター・リンチ氏がいました。驚異的なリターンを実現したフィデリティのマゼランファンドもリンチ氏が引退してからは、凡庸な運用成績になってしまいました。

アクティブ運用にも新たな可能性が存在する

では、アクティブ運用は報われない投資なのでしょうか。従来のアクティブ運用とは異なる方法で、インデックスを超えるチャレンジが行われています。

その1つがESG投資です。Eとは環境(Environment)、Sとは社会(Social)、Gとは企業統治(Governance)の頭文字を取ったものです。

環境に配慮して温暖化ガスの排出削減をしたり、社会性に配慮して人権問題や個人情報の保護に注力したり、企業統治に力を入れて取締役会の多様性を維持したり、法令遵守を行うといった会社の仕組みを考えている会社を選んで投資する手法です。

また、マネックス証券が6月から募集を開始する「マネックス・アクティビスト・ファンド」は投資先企業とのオープンで総合的なエンゲージメント(対話)から個人投資家の長期的に安定したリターンの獲得を目指すとしています。

ファンドマネージャーの受け身の分析に依存するアクティブ運用ではなく、運用者側から積極的に企業に働きかける運用手法と理解しています。

個人的には、インデックス運用を続けながら、これらの新しいアクティブ運用の可能性についても、常にアンテナを張り巡らしたいと思っています。