「コロナ・ショック」後の小動きが終わるきっかけとは?

先週の米ドル/円は、107円台中心の小動きに終始しました(図表1参照)。日銀の追加緩和期待などから108円台をワンタッチするなど、前の週より米ドル高・円安気味の推移となりましたが、結果的には4月半ば頃から続く、106~108円中心のレンジ相場を抜け出すには至りませんでした。

【図表1】過去3ヶ月の米ドル/円の日足チャート(2020年2月~)
出所:マネックス証券分析チャート

米ドル/円は、こんなふうに106~108円中心のレンジ内で、1週間に1円程度の値幅にとどまる小動きがすでに1ヶ月以上も続いています。ただこれは米ドル/円に限ったことではなく、株価も、たとえばNYダウは過去1ヶ月以上、2万3000~2万4000ドル中心で方向感の乏しい一進一退が続いてきました(図表2参照)。

【図表2】過去3ヶ月のNYダウの日足チャート(2020年2月~)
出所:マネックス証券分析チャート

3月下旬にかけて、「コロナ・ショック」とされた異常に高いボラティリティー(変動率)の相場が起こりましたが、それが一段落した後は、その反動によるボラティリティーの低下、つまり小動きとなり、それが先週まで続いてきたということではないでしょうか。

こういった中で一つ注目したいのは、日本が5月25日にも緊急事態宣言の全面解除を決定する見通しになるなど、欧米の先進国で感染予防の規制緩和の動きが広がっていることの影響です。振り返ると、コロナ・ショックの世界的な株価大暴落が一段落したのは、3月末にかけて米国が国家非常事態宣言を出すなど、感染予防対策の規制強化に動く中でのことでした。この関係性が今も続いているなら、規制緩和の拡大も、相場の新たな動意のきっかけになる可能性は注目されます。仮にそうだとして、動き出す方向とは?

上述のように、3月末にかけて感染対策を強化する中で世界的な株安は一段落となりました。これは、冷静に考えると不思議なことです。基本的に感染対策と経済対策は逆の関係にあるので、感染対策の強化は、経済を悪化させる可能性があるはずなのに、株価の暴落は一段落し、反発への転換となったのです。

その意味では、この3月末頃の株価は、感染対策より感染者数との相関性が高かったと考えられます。欧米の感染者数が急増する中で株価は大暴落に向かい、感染予防対策が強化され、感染者数の拡大がピークアウトすると株暴落も一段落となったわけです。

この関係性が今も仮に続いているなら、感染予防対策の規制緩和は、今後の感染者数の再拡大をもたらす可能性のあるものなので、株価は下落再燃へ動意する可能性も考えられます。株と米ドル/円が同じ方向に動く関係なら、それは米ドル/円が106~108円というこの間のレンジを下抜ける動きになりそうです。

それとも、感染予防対策と株との関係性、そして株と米ドル/円の関係性などに変化はあるのか。すでに述べたように、株も為替も方向感のないレンジ相場が長く続いてきただけに、レンジを抜けた方向に大きく動き出す可能性に対して、心の準備をする必要があるでしょう。