新型コロナウイルス感染拡大の影響により、外出自粛、営業自粛が続いています。最近になり、緊急事態宣言が一部解除される動きが出てきましたが、それでも自粛による家計や事業などが受けているダメージはすぐには回復しないと考えられます。
特に収入面に関しては、既にご存知のように国民一人一人に一律10万円が給付される「特別定額給付金」をはじめ、様々な救済策が講じられています。金額が少ない、スピードが遅いなどマイナスイメージの話題もありますが、それでも広い対象に行き届くように計らい、救済を考えている点は評価できるものではないかと思います。
支援策などは状況により対象や条件が変わるなど常に変化があり、わかりにくい部分も多いもの。今回は現時点(2020年5月14日時点)でご家庭や個人事業などで活用できる、知っておいて損はない支援策についてお伝えします。
家計に役立つ支援策
支援策には「給付」と「貸付」があります。
※筆者の会社で運営する「FPコンサル研究所」の会員が情報を集め、作成した一覧もありますので、あわせてご覧ください(外部サイトに遷移します)。
特別定額給付金
基準日(令和2年4月27日)において、住民基本台帳に記録されている人を対象に1人10万円の給付金がもらえます。迅速な給付を目指すため、世帯主がまとめて受け取ります。DV被害者で配偶者と異なる場所に住んでいる場合は、配偶者に支払い決定が通知されていなければ自分の口座で受け取ることも可能ですので、役所に申請してください。生活保護者については、申請すべき収入とみなされません。
マイナンバーカードを用いたオンラインによる申し込み、または自治体から送られる申請書に記入して郵送による申し込みが選択可能です。早いところでは5月1日からオンラインで申し込みを開始。郵送での申請書の発送時期は自治体により異なりますが、5月下旬〜6月中旬までに発送するとしている自治体がほとんどです。
詳細は総務省ホームページかお住まいの各自治体のホームページなどでご確認ください。
総務省|特別定額給付金(新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関連)(外部サイトに遷移します)
子育て世帯への臨時特別給付金
現在、児童手当を受けているお子さん1人につき、1万円を上乗せして支給されます。
申し込みは不要ですが、時期は未定です。早ければ6月の支給時に上乗せされる可能性があります。また、所得制限により児童手当が月に5,000円となっている世帯への上乗せ支給はありません。
詳細はお住まいの各自治体のホームページなどでご確認ください。
住居確保給付金
以下の人を対象に、家賃額の支給がされます。
【1】離職、廃業等により経済的に困窮し、住宅を喪失した人、喪失するおそれのある人
【2】新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、休業などで離職と同等程度に収入が減った人
支給条件として、収入要件、貯金が100万円以下であることなどがあります。以前は求職活動をしていることも条件に含まれましたが、今回の騒動により、条件から外されました。
支給期間は原則3ヶ月、求職活動をしている人は6ヶ月、最長9ヶ月です。詳細はお住まいの各自治体、社会福祉協議会のホームページなどでご確認ください。
緊急小口資金
休業などにより、一時的に生活維持のための資金が必要になった方が主な対象です。無利子での貸付となり、金額は基本的に10万円以内ですが、学校などの休業によるもの、個人事業主には特例があり、20万円以内となります。1年間据え置き、2年以内に返済することが条件です。取り扱いは各自治体、社会福祉協議会です。
総合支援資金
失業により生活維持が困難で、生活立て直しの資金が必要な方が主な対象です。単身は月15万円以内、二人以上の世帯は月20万円以内を無利子で借りられます。3ヶ月間利用でき、返済は1年据え置き、10年以内での返済です。「緊急小口資金」同様、取り扱いは各自治体、社会福祉協議会です。
学校等休業助成金
お子さんの小学校などが休校となり、休業を余儀なくされた保護者に対し、会社員の場合は事業主、委託を受けて仕事をする個人事業の場合は個人に助成金が支給されます。
会社員:通常の年次休暇とは別に保護者に有給休暇を取得させ、休業中の賃金を支払った事業者(勤務先の企業等)に賃金相当額(日給)×10/10が助成されます。上限は8,330円/日です。
委託を受けて仕事をする自営業者(フリーランスなど):業務のオファーをキャンセルした日が支給対象で、4,100円/日(定額)です。
対象は2020年5月14日現在、2020年2月27日〜6月30日の学校開校予定日の休業に限ります。会社員の場合は事業主の理解が必要ですが、現状ではありがたい制度です。
毎月の支払いが大変なら相談できる
休職、失業などにより税金や公共料金の支払いが困難な方に対し、支払い期限の延長対策を取っているものがあります。支払いが難しい状況になったら、早めにご相談された方が良いでしょう。無断で未納にするよりも、その後の対策が取りやすくなります。
固定資産税、住民税、所得税などの税金
休職、解雇、罹患などの状況により、納税期間を最大1年伸ばしてもらえます。詳細は国税庁のホームページや自治体のホームページなどからご確認ください。
新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ|国税庁(外部サイトに遷移します)
水道光熱費などの公共料金
電気、ガス、水道は支払いが困難な人に対し、相談のうえで1ヶ月以上の支払い期限の延長をしています。詳細はご利用の事業会社のホームページなどからご確認ください。
固定電話・携帯電話
NTT、KDDI、ソフトバンクの3社は、2月以降の支払いとなっている固定電話・携帯電話料金の支払いが困難な人に対し、支払期限を6月末まで延長すると発表しています。
詳細はNTT、KDDI、ソフトバンクのうちご利用の会社のホームページなどからご確認ください。
国民健康保険料、国民年金
減収などの状況により、国民健康保険料は支払額の軽減、猶予、国民年金は免除、猶予の措置を検討することができます。詳細はお住まいの自治体のホームページなどからご確認ください。
住宅ローン
金融機関にご相談のうえ、返済方法の見直し、期限の延長などが検討できます。詳細は借入先の金融機関にご確認ください。
上記のほかにも、様々な支払いで猶予が設けられたり、延長をしてくれたりします。自己判断で支払わないでいると、思いがけないデメリット(督促状が来る、延滞金がつくなど)がある場合もありますので、困ったら迷わずにご相談することをおすすめします。
個人の事業でもらえるお金もある
個人事業主の方は、その仕事による収入が生活費全体に影響します。その場合、用途が自由な給付金を受けられる可能性があるので、ぜひご確認ください。
減収部分を補う「持続化給付金」
外出の自粛や需要の落ち込みで深刻な影響を受けている中小企業や個人事業主に対して給付されます。
2020年1〜12月の1年間で、前年同月の収入より50%以下に減少している月が1ヶ月でもあれば、個人事業主(フリーランス含む)100万円、中小企業200万円を上限に給付金がもらえます。
給付にかかる日数の目安は2週間ほどとされています。5月1日より申請の受け付けを開始し、すでにオンラインで申請をした人は5月8日に給付金を受け取れている実績があります。
詳細は、経済産業省のホームページなどからご確認ください。
持続化給付金 (METI/経済産業省)(外部サイトに遷移します)
利用できる制度は利用し、家計や事業の立て直しを
苦しい状況に立たされているのは自分一人ではありません。この難局を乗り越えるためにも情報にアンテナを張り、利用できるものを活用しつつ、家計も事業も回復させていきましょう。そして今、貯蓄に不安を感じるのなら、キャッシュが欠損する資産状況とならないよう、「守りの姿勢」が必要と考えられます。
※情報は2020年5月14日時点のものです。今後情報が更新される場合がありますので、最新の情報は各省庁や自治体のホームページなどでご確認ください。