新型コロナウイルスの世界的な広がりによるマーケットの混乱は、当初の想像以上に大きなものになりました。国内でも感染拡大を防止するために、4月7日、東京など7都府県を対象に5月6日までの緊急事態宣言が発表されました。

マーケットの混乱と下落は、個人投資家の投資マインドを冷え込ませると思われましたが、新聞記事等によると国内大手ネット証券の新規口座開設数は今年3月に入ってむしろ急増しているようです。これは株式投資のチャンスだと感じた個人投資家が増えていることも1つの要因と考えられます。

また、その背景として2019年話題になったいわゆる「老後2000万円問題」もあると思われます。老後資金についての不安が広がり、個人の資産運用に対する関心が高まったことも影響しているのかもしれません。

今こそ投資を始めるチャンス

今回のいわゆるコロナショックによる株価の下落がどこまで続くかは予想できません。しかし、ウイルスによる感染の広がりはいずれ終止符を打つものと考えられます。そうなれば、これまでの日常生活が戻り、正常化した経済状態に見合った株価に戻っていくことでしょう。

1980年代のブラックマンデー、1990年代のアジア通貨危機、2000年代のITバブル崩壊やリーマンショックといった過去の相場の急落と混乱を見ても、相場急変の発生から数年後には、株価は元の水準を取り戻しています。コロナショックがその例外になるとは思えません。

ただし、投資を始めるにあたり、投資初心者が陥りがちな失敗があります。それは、以下でご説明する「3つの過剰」になります。

過剰1 リスクの取りすぎ

最初は恐る恐る投資を始めても調子が良くなってくるとリスクを大きくとってしまう。自分の許容量を超えたリスクの取り過ぎは、最終的に大きな損失につながります。

車の運転に例えれば、制限速度50キロの道路において200キロで初心者が運転すれば、事故が起きるのは当たり前です。

1つの株式銘柄に集中して資金を投入したり、FX取引で1つの高金利通貨だけのポジションを作りレバレッジを10倍以上にしたり、このような極端な集中投資はリスクの取り過ぎになるので止めましょう。投資の基本は「投資対象の分散」です。

過剰2 タイミングの考えすぎ

安く買って高く売ろうとしても、感情に流されると思い通りにはいきません。その多くは高値掴みになってしまうのです。それよりもタイミングを考えない「時間の分散」をした方が最終的には購入コストを平均的に引き下げることができます。

投資信託の自動積立を使った「ドルコスト平均法」で毎月決まった金額を自動的に購入する。そうすれば、相場の変動で感情的になって失敗してしまうリスクを軽減できます。

過剰3 取引のやりすぎ

投資を始めると、マーケットの動きが気になり、頻繁にチェックをして売買を繰り返してしまう人がいます。例えば100円で買った株を数分後に102円で売却し2円の収益を確定するといった方法です。しかし、2円の利益の裏には2円の損失を出した投資家が存在します。

このような短期の売買による収益は他の人の損から生まれる。つまり「ゼロサムゲーム」になることが多いのです。少なくとも初心者には、取引回数を増やして収益を狙う方法は向いていません。

そもそも、相場の変動にずっと気を取られて、本業が疎かになってしまうような本末転倒なことは避けるようにしましょう。

資産運用をどのような方法で行えば良いのかということには、様々な考え方があります。私が今回アドバイスしたポイントは、これから投資を始める超初心者を対象とするものです。

これから投資を始めようという人は、まずこのような失敗の確率の低い方法からスタートして、経験を積みながら、更に新しい投資の知識や情報を仕入れていくのが良いでしょう。

投資は「走りながら考える」が大切です。このコラムを参考にして、投資の第一歩を踏み出してみられてはいかがでしょうか。