大乱高下が続いた為替相場

為替相場は大乱高下が続いています。先々週、米ドル/円は一気に101円まで暴落しましたが、先週は打って変わって111円まで急反騰となりました。

ところで、そんな米ドル/円は、101円まで暴落したところまではNYダウなど株価と連動した展開でした(図表1参照)。ところが、その後は一段と広がる世界的な株暴落を尻目に急反騰となったわけです。

【図表1】米ドル/円とNYダウ(2019年12月~)
出所:リフィニティブ・データよりマネックス証券が作成

この株安とかい離した米ドル/円の反発を、ある程度説明できたのは金利の動きでした。一時0.4%割れまで大幅に低下した米10年債利回りなどの米金利が、一転して先々週から急上昇に転じたのは、米ドル/円の急反騰をある程度は説明できそうです(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日米金利差(2019年12月~)
出所:リフィニティブ・データよりマネックス証券が作成

ただ、米ドル/円と米金利を重ねてみると、次第に米ドル/円の上昇は、米金利上昇で説明できる範囲を超えてきたようです。この米金利でも説明できる範囲を超え、ましてや米株安とは逆行したようになっている米ドル/円の上昇は、「コロナ・パニック」といった未曽有のリスクオフ局面が続く中で、基軸通貨の米ドル資金確保に殺到した結果との理解が一般的でしょう。

このところ、先進国の中央銀行では米ドル資金の緊急的な供給が相次いでいます。それはまさに、未曽有のリスクオフ局面が続く中で、米ドル資金不足へ備えた措置といえるでしょう。

ある意味では歴史的な「有事の米ドル買い」が展開しているということかもしれません。別な見方をすると、この「歴史的な有事」が一息つくと、緊急的に大量に供給されてきた米ドル資金は、「不足」から一転「余剰」となり、そうなると米ドル売りが急拡大に転換する可能性もあるのかもしれません

「米ドル買い殺到」から、「米ドル売り殺到」に急転換するタイミングはくるのか。その目安の1つは、上述のような「コロナ・パニック」に伴う「歴史的な有事」がいつ一息つくのかということではないでしょうか。