金融マーケットの混乱が今週も続いています。新型コロナウイルス問題に加え、新たな混乱要因として、原油価格の急落もマーケットのセンチメントを悪化させています。

コロナショックの株価下落がどこまで続くかは誰にも予想できない

今後、株価がどこまで下落するのか。エコノミストやストラテジストといった「マーケットの専門家」が予想をしていますが、そんな予想は多くの場合外れます。

なぜなら、経済データや企業業績、あるいは過去の経済ショック時の下落率など、ロジカルな分析から数値を算出してもあくまでそれは目安にしかならないからです。今回のような急激なマーケットの下落時には、実際のマーケットの趨勢はファンダメンタル分析では決まりません。市場のセンチメントが優先されます。

また、最近はアルゴリズム取引と呼ばれる、市場の下落を加速させるような取引も増えています。売りが売りを呼ぶ展開が起こりやすくなり、株価がオーバーシュート(行き過ぎ)しやすくなっているのです。

新型コロナウイルスで世界経済は破たんしない

マーケットの感情的な取引によって株価が下押しするだけではなく、今後は実体経済への悪影響も株価の下落要因になってきます。2020年の第1四半期(2020年1月から3月)のGDP成長率は、世界各国で2ケタのマイナスになるかもしれません。

また、さらなる経済情勢の悪化によって企業の倒産が増加し、資金繰り不安からの信用リスクが顕在化する可能性も高まっています。

新型コロナウイルスの感染者数はアジアではピークを越えつつありますが、欧米では増加傾向にあり、感染被害の中心が移りつつあります。米国で感染が広がれば、さらにパニック的な動きが出るかもしれません。

しかし、新型コロナウイルスによって世界経済が破たんすることはありません。いずれは感染者数が減少し、事態が収束していくと思われます。そのときに、株式が本質的な企業価値に比べて売られすぎであることが明らかになるやもしれません。

もし、私と同じように世界経済がこのまま破たんに向かうと思わないのであれば、今回の株価の急落は、株式のポートフォリオを構築するチャンスであると考えてよいでしょう。

個人投資家ができることは平時も有事も同じ

ただし、前にも書いたようにマーケットの底値がどこにあるかは、誰にも予想できません。だからピンポイントに買い場を狙って一気に買おうと考えるのではなく、割安な水準で時間を分散させてポジションを積み上げていくべきです。安易なリスクの取りすぎは禁物です。

大きな経済変動の時にやってはいけないのは、1つの資産に資金を集中させることです。また、過剰に悲観して、パニックになる必要もありません。

個人投資家がやるべきことは、平時も有事も変わりません。普段からアセットアロケーションをしっかり行い、分散投資を実践する。このような基本に忠実な資産運用をしていれば、例え株価の下落で一時的に資産が減ることがあっても、落ち着いて行動することができると思います。