先週末の反発では窓を5つ埋めたが

新型肺炎の感染拡大による経済への悪影響が懸念され、3連休明けの東京市場は大幅安でスタートする結果となりました。一方で、先週の後半は反発する場面もあり、株価が上下に変動したことで、窓埋めにも変化があったようです。それではいつものようにチャートで確認したいと思います。

【図表1】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤い丸=埋まっていない窓、青い丸=埋まった窓

前回は上向きの75日移動平均線を割り込んで終えたところで、「75日移動平均線を上回ることができなければ、上値の重たい展開が続くと同時に23,000円台前半の窓を埋める可能性が残ります。したがって、高値掴みは避けると同時に窓を埋めて出直るパターンになるのか、あるいは方向感のない値動きが続くのか、75日移動平均線を上回ることができるかどうかも合わせて確認し、今後の値動きを判断するようにしたいところです」としましたが、結果は…。

週末にかけて一旦反発して、75日移動平均線や25日移動平均線を上回る場面がありました。この時点で、これまで埋まっていなかった23,500円台の窓を5つも埋める結果となっているのが分かります。

3連休明けの下落で大きな窓があいたままに

一方、先週2月20日に窓を埋めたあとの値動きを見ますと、いわゆる達成感からか、上ヒゲの陰線を形成すると同時に、わずかに75日移動平均線を下回って終えており、上値の重たい値動きとなってしまいました。さらに週末の2月21日も、下向きの25日移動平均線や上向きの75日移動平均線を上回る場面がありましたが、20日の値動きと同様に、取引終了にかけて上ヒゲを形成してほぼ安値で終える結果となりました。

こうした状況から、前週と同様に週初から週末にかけて反発したかと思えば、わずかに押し返されるといった方向感のない値動きになったことが分かります。

そうしたなか3連休明けの東京市場は、前述のように新型肺炎の感染拡大に対する警戒の高まりから、NY市場が1,000ドル超の下落となったことを受け、大きく窓をあけて下落して始まる展開となりました。その後、下げ渋って下ヒゲを形成しているものの、大きな窓があいたままとなっているのが分かります。

200日移動平均線上を下回り、ランナウェイギャップが発生すると…

では、今回の窓はどの窓と考えられるのでしょうか。

私は、過去の値幅の範囲内であることから、コモンギャップ(=普通の窓)ではないかと考えています。仮に今回発生した窓がコモンギャップだった場合、2月25日のローソク足のすぐ下に位置している200日移動平均線上で下げ止まることが考えられるのではないかと思われます。

また、2019年8月6日の安値から今年1月の高値までの値幅の38.2%押しの水準で下げ止まっており、フィボナッチ・リトレイスメントから見ても、この水準で下げ止まるようですと、株価の反発と今回発生した窓を埋めることが期待されそうです。

一方で、2月25日の安値と200日移動平均線を一気に下回って窓をあけて始まった場合は、どう考えればよいのでしょうか。仮にそうした窓が発生して戻せなかった場合、ランナウェイギャップ(=逃げる窓)となることも考えられ、押し目買いを控える必要が出てきそうです。

なぜなら、ランナウェイギャップが発生した場合、フィボナッチ・リトレイスメントの50%押しの水準を下回って61.8%押しの水準まで下落すると同時に、2019年10月10日から16日までのあいだにあけた3つの窓を埋めることが考えられるからです。

今後は200日移動平均線上を維持できるのかに加え、ランナウェイギャップが発生するかが注目ポイントになると思われます。ですので、引き続き窓の発生に注意し、発生した窓がどの種類の窓なのかを考え、売買の判断に役立てるようにしたいところです。