株式の銘柄選択をしたり、マクロ経済を分析したりしながら投資タイミングをあれこれ考えるのは、楽しい投資です。

例えば、株式市場で個別の銘柄がこれからどうなるのか、あるいは為替マーケットでさらに円安に振れるのか。そんな見通しについて自分なりにあれこれ考えて投資戦略を立てる。何だかワクワクしてきます。

しかし、このような銘柄選択や投資のタイミングを考えても、運用の成果はあまり上がらないものです。

プロが銘柄選択しても勝てるのは半分以下

銘柄選択に関して言えば、アクティブ運用(※1)をしているファンドの半分以上は、インデックス運用(※2)に勝てないというデータもあります。

プロのファンドマネージャーであってもその程度の成績ですから、個人投資家が自分で銘柄選択をして、アクティブ運用するとどうなるかは明らかです。

タイミングを考えると「高値掴み」になる

また、タイミングを考える投資も、結局はうまくいきません。株式投資であれば、株価が高くなると投資をし、下落すると塩漬けになる。そんなパターンが多いのです。

実際、私が2001年から20年にわたり毎年、講義をしている早稲田大学の資産運用講座も株価が上がると受講生が増える傾向があります。受講者数が日経平均に連動しているのです。

つまり、タイミングを考えると、高値で投資することが多くなってしまい、結果的に高値掴みとなることがわかります。であれば、むしろタイミングを考えず、毎月同じ金額を積み立てることで平均購入単価をならすドルコスト平均法の方が、投資の成果は上がるかもしれません。

「投資の神様」もインデックスには、なかなか勝てない

今週読んだ新聞記事に、米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイのパフォーマンスが掲載されていました。ウォーレン・バフェット氏と言えば、アクティブ運用で巨万の富を築いた「投資の神様」です。

実際、過去20年ではインデックス(米国株のインデックスであるS&P 500)を上回る素晴らしい成績ですが、ここ10年ではインデックス以下の成績にとどまっています。

ウォーレン・バフェット氏は積極的なアクティブ運用を行う投資家です。しかし、個人投資家にはインデックス運用を薦めています。自分のやり方は特別な人にしか通用しないと考えているからです。

自分が特別だと思っている個人投資家はともかく、そう思わないのであれば、インデックスファンドの積み立てをするのが、つまらないかもしれませんが楽なうえに市場と同様のリターンを見込める投資と言えるのです。

だから資産運用をエンターテイメントではなく、資産形成の手段だと思うのであれば、これから投資入門者の方がやるべき投資方法は明らかであると言えます。


(※1)アクティブ運用とは:銘柄を選ぶことによって、市場平均を上回る運用成果を目指す手法のこと

(※2)インデックス運用とは:日本株であれば日経平均やTOPIXのような市場の平均値に連動した運用成果を目指す手法のこと