個人は増税、法人は減税というトレンド

今年も確定申告の季節になりました。個人で投資をしている方の中には、確定申告が面倒で憂鬱という人も多いと思います。私もその一人です(笑)。

日本の税制は毎年改正されていますが、そうした中でも昨今は大きな変革期に入っています。大きな流れとしては、法人税は減税、個人に対する所得税や相続税は増税というトレンドになっています。

税収不足から増税していこうというのが政府の基本方針ですが、法人税に関しては国際競争や業界団体への配慮があり、すんなりと増税するわけにはいかないのです。

個人投資家が、このような増税の流れに対応していく1つの方法が、資産管理会社の設立です。個人名義で資産運用するのではなく、自分が株主となる法人を設立し、その会社名義で資産運用していくのです。

会社勤務をしている方は、勤務先によってはこのような勤務先以外の会社の役員に就任することが禁止されている場合があります。その場合は、配偶者や子供などの家族を役員にして、株主にだけなるという方法もあります。

資産管理会社で資産運用するメリット

個人取引ではなく法人取引にすることによる最大のメリットは、損益通算です。個人の場合、不動産と証券取引、仮想通貨というように、それぞれの取引による利益と損失は相殺できない場合があります。

しかし、法人であれば、損金として認められる費用であるという条件はあるものの、全ての損益を通算し、法人税として納税することになります。

また法人の場合、損失が発生すると翌年以降に欠損金の繰り越しをすることも認められています。さらに、経費の参入なども認められており、個人に比べ税制上の優遇措置が大きいと言えるのです。

資産管理会社のもう1つのメリットは、相続です。個人で保有している資産を相続する場合、それぞれの資産毎に名義変更する必要があり煩雑でコストがかかりますが、資産管理会社であれば、その会社の株式を相続するだけで手続きは完了します。

特に、海外不動産のような相続に手間がかかる資産を保有している場合、法人名義にするメリットが大きいと思います。

法人化するデメリットとしては、会社の設立費用がかかったり、毎年の決算をしたりする必要があり、コストとして税理士報酬が発生することです。

逆に言えば、そのようなコストを払っても価値があるのなら、資産管理会社を作って法人取引に集約させた方が良いということです。

資産管理会社の設立は慎重に検討すべき

既に個人で資産運用をしている人は、資産管理会社を検討しようとすると、既存の個人で行っている取引をどうするかが問題になります。

既に個人で保有している資産を法人名義に切り替えるには、一旦資産を売却することになります。売却益が出たり、売買取引コストがかかったりすることになります。

それらも含めて、資産管理会社の設立は、税理士などに相談しながら、慎重に検討していくべきでしょう。

明らかなことは、資産運用は何に投資をするかという投資対象だけではなく、税制面も考慮し、どのような「器」を使うかも考える時代になってきたということです。