株安・円高の行方を考える
米ドル/円は先週、109円前半へ反落となりました(図表1参照)。中国発の新型ウイルス肺炎の影響拡大を懸念したとして株価が下落したことに連れた結果といえるでしょう。
ところでNYダウは、昨年12月初めから大きく下落することもなく、約1ヶ月半ほぼ一本調子で上昇してきました。その意味では、上昇相場もさすがにいつ一息入れてもおかしくない可能性があったでしょう。そういった観点からすると、新型肺炎は一息入れるきっかけになったということではないでしょうか。
では、そんな株安は今週も続くのか。NYダウは、2万8000ドルを超えてから、ほとんど「息継ぎ」することもなく2万9000ドルを突破、あっという間に3万ドルの大台も射程に入る動きとなりました。そのような上昇相場の「一息入れ」がすぐに終わってしまうのか、感覚的には疑問もあります。
ただ昨年10月以降のNYダウは週足の陰線が2週続いたことはありませんでした(図表2参照)。その意味では、今週のNYダウは早速陽転し、上昇相場が再開する可能性もありそうです。
米ドル/円については、テクニカルな観点から週末109円を維持するかを注目したいと思います。109円は52週MA(移動平均線)が位置する水準ですが、先週まで3週連続で米ドル/円はそれを上回りました。果たして今週も4週連続で52週MAを上回ることができるか。
経験的に1ヶ月以上といった具合に、52週MAを長く上回る動きは一時的ではなく、継続的なトレンドが展開している可能性が高いものです。実は米ドル/円はすでに昨年12月初めから2ヶ月近くにわたり、「イラン・ショック」など一時期を除いて52週MAを上回る状況が続いています。
その意味では、米ドル/円の上昇は一時的ではなく、トレンドとして展開している可能性が高そうで、そうであれば週末は109円を上回る可能性が基本的には高そうですが、果たしてどうか?
また、今月の寄り付きは108.7円だったので、今月末終値がこれを上回るかも注目されるところです。1月の米ドル/円は過去10年間で7回陰線(米ドル安)引けとなるなど、「米ドル安になりやすい1月」でしたが、月末終値が寄り付き水準を上回り、「異例の1月米ドル高」となるかも注目してみたいと思います。