みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。
株式市場は高値圏での揉み合いが続いています。米中貿易摩擦や半導体の調整進展など、市場はむしろグッドニュースに注目しているように思えます。懸念していた消費増税も、これまでのところまだ大きな影響は見えてきていません。しばらくは悪材料出尽くしといった印象の相場展開が続くのではと筆者は予想しています。
「ブラックフライデー」と「サイバーマンデー」で年末商戦が始まる
さて、米国では11月29日から年末商戦が始まります。その皮切りとなるのは、ご存知の方も多いでしょうが、「ブラックフライデー」と「サイバーマンデー」です。
ブラックフライデーはこの年末商戦が慣例的に始まる11月末の金曜日を意味し、この日は小売店において絶好の稼ぎ時になるとされています。ブラックサーズデイ、ブラックマンデーと、株式市場ではブラック+曜日となるとあまり良い印象はないのですが、ここでの「ブラック」は黒字を示すかなり前向きな意味合いを持っています。
そして、サイバーマンデーは、ブラックフライデーの3日後の月曜日を指し、ここはオンラインショップにおけるセール開始日と認識されています。これら米国における年末商戦はまさに一大イベントと言ってよく、2018年はブラックフライデーの週末に過去最高となるおよそ600億ドル(6.4兆円)の売上が、サイバーマンデーには約80億ドル(8,500億円)の売上が、それぞれあったと報告されています。
年末商戦は米国の景気動向が見事に反映される
年末商戦の行方が注目されるのは、米国の景気動向が見事に反映されるためです。世界最大の経済大国の消費動向は、間違いなく世界の景気にも影響を与えます。そして、その年末商戦で人気となった商品は、それだけで定番として認識されることにもなるのです。
多くの企業が年末商戦に向けて新商品を用意するのにはそういった背景があり、逆に年末商戦で消費者の関心を惹くことができなければ、存在感を低下させてしまいリスクを負うことにもなりかねません。
昨今は、ブラックフライデーに先立つW11(11月11日の「独身の日」)セールなどが急拡大するなど、年末商戦は前倒しとなる傾向が顕著です。それでも米国市場においては感謝祭という祝日と密接な関係にある従来型のブラックフライデーの重要性に陰りはありません。むしろW11セールはブラックフライデー直前のテストマッチの位置づけにあると言えるのです(中国市場ではW11セールが中心であることは間違いありません)。
対前年伸び率が加速すれば日本株にも追い風に
それでは2019年の年末商戦における注目点はなんでしょうか。もちろん、日本株への投資を考えるうえでの注目点です。最大のポイントはやはりどれだけの伸びがあるかでしょう。
年末商戦の対前年伸び率は過去10年で平均3.56%でした。ただし、直近は4.0%、4.3%と加速傾向にあります。さらに加速することとなれば、やはり米国経済は強いという評価が高まってくるのではないかと想像します。
当然、これは日本株には追い風となることでしょう。ブラックフライデー、サイバーマンデーともに数日のうちに、場合によってはその日のうちに、消費動向に関しての速報が流れてくるはずです。これのニュースフローには注意しておきたいところです。
2つ目の注目点は、実店舗とオンラインとの比率の変化です。2018年ではまだ実店舗の売上がオンライン売上を大きく上回っています。しかし、実店舗では伸び率が一桁前半にとどまるのに対し、オンラインの売上成長率は20%を越えていました。
実店舗に直接足を運ぶ消費者の数は、既に2017年より減少に転じています。「攻めるオンライン、守る実店舗」という構造が加速しているとすれば、2019年はオンラインが実店舗にどれだけ迫ることになるのかが問われることになります。
日本でもネット市場の囲い込みを睨んで業界再編がここにきて急ピッチで進んできました。米国におけるオンライン販売の進捗が日本のネット企業に更なる影響を与える可能性は大きいと言えるでしょう。
売れ筋商品に関するニュースフローには目を配りたい
3番目の注目点は、話題となった製品・商品です。年末商戦では、ファミリーからシングルまで実に幅広い層の消費者が行動を起こします。物色対象となる家電やゲーム、衣料品などで、その幅広い層がどういった製品を支持するのかが注目されるのです。
日本企業も当然、米国の年末商戦に向けて自信の製品・商品を用意しているはずです。ここでヒット商品を打ち出せるのか、あるいは空振りとなるのかは、それら企業の業績動向、ひいては株価動向に直結してきます。売れ筋商品に関してのニュースフローには目を配っておきたいところです。
消費に関しては、有難いことに、オンラインが台頭してきたことで様々なデータがリアルタイムに近い新鮮さで報道されるようになりました。だからこそ、データやニュースに対して素早く評価することが求められつつあります。
評価を的確にするには予測をしっかりと立てておくことが非常に重要です。米国の状況はなかなかわかり難いものもありますが、ぜひ、自分なりの予測というものを立てて年末商戦シーズンに臨んでいただければと思います。