円高は8月104円で終った可能性!?

結論的にいうと、米ドル/円はもう下がっても107円すら大きく割れず、そして今年の高値、112.4円程度を超えたら125円を目指していく――そんな中期円安シナリオが始まっているかもしれないと、私は最近考え始めています。もちろん、いくつか「条件」はあるでしょうが。

先週の「為替デイリー」レポートでも何度か書いたように、先週にかけて米ドル/円が109円を上回ってきたことを比較的うまく説明できるのは日米などの株高です。そして、そんな株価は、52週MA(移動平均線)との関係などを参考にすると、上昇トレンドが展開している可能性が高そうです。

以上のように見ると、米ドル/円が株価との連動性が高いという「条件」がこの先も変わらなければ、株高トレンドに連れる形で、米ドル/円も上昇トレンド、言い方をかえると「中期円安」トレンドが展開する可能性が高いでしょう。

上昇トレンドが展開する中でも、相場ですから一時的に下落することはあるでしょう。そんな一時的な下落は、経験的には52週MA前後までがせいぜいというのが基本です。日経平均の52週MAは、足元で2万1000円程度。それを米ドル/円と重ねると107円程度になります。以上から、一時的に株安となり、米ドル/円がそれに連れても107円前後までがせいぜいといった考え方になります。

では、株高トレンドに連れた米ドル/円の上昇トレンドはどこに向かうのか。実は、米ドル/円は2015年から値動きの収縮が続いてきました。要するに、上がっても前回高値を超えられず、下がっても前回安値を割れず、上値が切り下がり、下値が切り上がる状況が続いてきたのです(図表1参照)。その意味では、上昇トレンドが展開する中で注目されるのは、「上がっても前回高値を超えられず」といったパターンが崩れるかでしょう。

【図表1】米ドル/円の月足チャート(2015年-)
出所:マネックストレーダーFX

今年の米ドル/円高値は112.4円程度なので、これを米ドル/円が大きく上回るようなら、2015年から続いてきた値動きの収縮、チャート的には「三角保合い」をついにブレークした可能性が高くなります。

教科書的には、「三角保合い」ブレークは、保合いのスタート水準に戻る動きの始まりとされます。今回の米ドル/円「三角保合い」の上限は2015年6月の125円。以上から、米ドル/円上昇トレンドが展開する中で、今年の高値、112.4円程度を上回り、ついに「三角保合い」ブレークとなったら、それは125円へ戻る動きが始まっている可能性が出てくるわけです。

株高トレンドといっても、たとえばNYダウなどはすでに10年も上昇トレンドが続いており、さらにそれが続くのか?しかも米景気は、第4四半期の成長率が1%前後に一段と減速するとの予想もある中で、それでも株高は続き、そしてそれと米ドル/円の連動は続くのか?といった具合に、疑問も少なくないでしょう。

ただこれまで見てきたように、株と米ドル/円などの値動きに注目すると、FRBが3回連続利下げする中で株と米ドル/円は8月を境に上昇トレンドへの転換の可能性が高まっています。その中でも米ドル/円は、すでに4年以上も続く値動き収縮の終わりが上昇方向で試される局面に移った可能性があるわけです。