雑誌やネットでファイナンシャルプランナーが「節約術」を指南しているのを見かけます。資産形成のために積極的に節約をしている人がいますが、幸せそうには見えません。私はやみくもな節約だけでは、人生を豊かにすることができないと思っています。その理由は多くの場合、節約の方法に問題があるからです。
やみくもな節約は人生の損失
例えば、スーパーで夕方にタイムセールで割引になった総菜を買ったり、売り出しのチラシを見てわざわざ安いお店まで出かけたりといった節約法があります。やらないよりはお金は節約できるかもしれません。しかし、そのためにかけた時間と手間に対して、それによって得られた節約金額は、果たして見合っているのでしょうか?
わかりやすい例は、以前携帯会社がスマホユーザーに配布していた吉野家の牛丼無料券です。タダで牛丼が食べられると、お店に大行列ができました。しかし牛丼の価格はせいぜい400円です。1時間並んだとしたら、時給換算でわずか400円です。ならば、コンビニでアルバイトした方が2倍以上の収入になります。時間とお金のバランスが悪く、時間がもったいないということです。
「お金」と「時間」の関係を理解する
人生の2つの制約は「お金」と「時間」です。この2つをバランス良く手に入れることによって人生は豊かにすることができます。
お金と時間は交換可能です。自分の時間を仕事に費やすことによって、時間をお金に換えることができますし、お金を払ってサービスを購入することで時間を手に入れることができます。クリーニングや家事代行は、お金で時間を買う行為と考えることができるのです。
お金を1円でも多く手に入れようと努力すると、時間を失うことになり、豊かさを手に入れられません。自分のやりたいことを実現するための時間を手に入れることが必要です。
お金に執着し、時間には無頓着な日本人
日本人はお金には執着するのに、時間には無頓着な人が多いのです。お金のためにやりたいことを我慢したり、自分のやりたくないことに時間を割き、結局使いきれないお金を残して人生を終えたりしてしまう。これはとても残念なことです。
実は、時間もお金と同じくらい人生で貴重なものなのです。
だから、むやみに節約するだけではなく、そこに時間の概念も取り入れることによって、無意味な節約をやめることが、豊かさをもたらすことを忘れてはいけません。
節約しようと思ったら、その節約の時給を考えてみることです。時間の割に大した節約にならないなら、その節約は時間がもったいないからやるべきではないのです。