投資の成果を決める3つの要素
資産運用の成果は、資産配分、投資タイミング、銘柄選択の3つで決まるというのがファイナンスの世界での定説です。そして、その中でも資産配分、つまりアセットアロケーションが最大の決定要因になります。
国内外の多くの実証分析では、アセットアロケーションが資産運用の成果の80%以上を占めるとされています。銘柄選択と投資タイミングは、合わせても20%程度ということです。
もし、アセットアロケーションが資産運用の成果の80%を決定するのだとすれば、資産運用にかける時間の80%は資産配分を考え、残りの20%で銘柄選択や投資タイミングを考えるのが合理的ということになります。
にも関わらず、世の中に溢れる金融商品に関する情報は、株式や為替をいつ売買したら良いかという投資タイミングや、値上がりする銘柄は何かを考えるような銘柄選択ばかりです。どうして、アセットアロケーションの情報が圧倒的に少なく、タイミングや銘柄選択の情報ばかりなのでしょうか。
「儲かる投資」よりも「楽しい投資」を優先する個人投資家
その理由はタイミングや銘柄選択の方が、アセットアロケーションを考えるよりも「楽しい投資」だからです。
マクロ経済を分析したり、アナリストや経済評論家の意見を参考にしながら、これからの相場を考え、投資タイミングをあれこれ議論するのは、話が盛り上がります。
また、インデックスファンドで市場の平均を狙うより、個別の株式投資のどの銘柄を選ぶかを考える方が、何だかワクワクしてきます。
一方で、アセットアロケーションを考えて、実行するのは、短期的には目に見える成果がわかりにくく、何とも退屈です。
想像してみてください。投資仲間に「アセットアロケーションを変更した」といった話題を振っても、場は白けてしまいます。それよりも、トランプ大統領リスクで株価がどうなるかや、新しいテクノロジーの出現でどんな株式がこれから有望かを語り合う方が、多くの人の興味を惹きつけるのです。
しかし、個人投資家が本当に求めているのは、楽しい投資ではなく、儲かる投資のはずです。金融マーケットはカジノやパチンコのような憂さ晴らしのギャンブルの場ではなく、自分のお金の不安を解消するための資産形成の場だからです。
投資タイミングや銘柄選択を完全否定はしません。しかし、それだけにエネルギーを割いて、結局投資の成果が上がっていない投資家は多いのです。
楽しい投資に魅了され、いつまで経っても投資のリターンが上がらないというワナに陥らないためには、どうしたら良いのでしょうか。次回のコラム(その2)に続きます。