第三部は、後半では、司会のフリーアナウンサー上野優花さんからの素朴な質問に桐谷さんが答えました。

優待券で年間150本映画を観て映画評論家に(笑)

上野:桐谷さんが今まで受け取って一番うれしかった株主優待券は何でしょうか?

桐谷:そのときどきですが、やはりお米がうれしかったですね。あとは映画の優待券。昔は金券ショップでいい金額で売れたのですが、今は記名入りのカード形式になったりして売れなくなってしまいました。

そのため仕方なく自分で映画を観に行っていたのですが、当時住んでいた中野から銀座まで電車賃が620円かかるわけです。映画のシルバー料金が1,100円ですから。これではあまり変わらないですね。そこで自転車で映画を見に行くようになったのですが、自転車で走る姿が、TV番組『月曜から夜ふかし』に出てブレイクしました(笑)。

さらに番組内で、年間150本映画を観ると言ったら「一番良かった映画は何か?」と聞かれまして。『ジョン・カーター』と答えたんです。これは莫大な製作費を使って、コケた映画だったのですが、私が「良かった」と言ったので、TSUTAYAのレンタルが伸びました。それで映画評論家になりましてね(笑)。

私が「この映画がいい」と言ったら、その映画の人気が出るんです。ジョニー・デップが来日したときに対談してほしいと言われたのですが、英語がしゃべれないから嫌だと断りました。でも、映画の試写会を観て感想を言ったら、ジョニー・デップが喜んで、メッセージをもらえました。

あと、スティーブン・スピルバーグ監督が来たときは、E.T.の人形を自転車のカゴに入れて、レッドカーペットを走ってギャラをいいただいたこともありましたね(笑)。

上野:それでは、株主優待による失敗談があれば、教えていただけますか?

桐谷:日本航空という株がありまして。以前は優待券があれば、半額で飛行機に乗ることができました。でも経営が大赤字になりまして。2009年、民主党政権下で国土交通省の大臣だった前原さんが公的支援をしないと発表したら、またどんどん株が下がったわけです。

でも私は、いつかまた上がると思って、優待券欲しさに株を買い進めたら、2010年に倒産してしまいました。これが優待株の一番の失敗でした・・・。だから、分散投資が必要なんですね。

9月に権利確定する利回り4~5%の銘柄はいくらでもある

上野:私は現在、アラサー女子ということで、アラサー女子にオススメの優待銘柄を教えて下さい。

桐谷:例えば、化粧品は高いですから、化粧品会社の株はいかがですか? シーボンでしたら、23万円くらいで買えます。配当が1.7%ですが、優待が初年度5,000円、1年以上で1万円、3年以上で1万円のカタログから化粧品などの製品を選ぶことができます。また抽選でエステサロンのモニター体験もできます。

あとは、バロックジャパンリミテッド。11万円位で購入できて、配当が3%以上、2,000円の商品券が年2枚もらえます。そうすると併せて利回りは7%程度なんですよ。ひとりで持っていると100株でも1,000株でも2,000円の優待券が年2回ですが、夫婦ふたりで持っていると4,000円×2=8,000円。ご家族がほかにいれば、合計したら結構いい値段になりますよ。

上野:直近では9月に権利が確定します。今シーズンオススメの銘柄はありますか?

桐谷:ヤマダ電機が今、4万6000円位で株主になれまして、100株以上持っていると1,000円ごとの買い物で使える500円券を年間6枚もらえます。しかも1年以上保有すると8枚、9枚と増えて行きます。

あとはヒロセ通商。18万円位で買えて、配当も3%位あります。100株の保有で年間1万円程度のレトルト食品ももらえますから。利回りもいいですね。

そして、TOKAIホールディングスもクオカードがもらえて利回りが4%位。日本管財も20万円位で買えるのですが、配当が2%位で、100株保有で2,000円のカタログギフトがもらえます。しかも3年以上の継続保有ですと、カタログが3,000円相当にグレードアップします。

9月は特に、利回り4~5%の銘柄がいくらでも見つかりますね。

上野:ありがとうございます。桐谷さんは優待券をいつも束で持ち歩いていらっしゃるんですね。

桐谷:いつもリュックに入れて背負ってます。優待券の唯一の欠点は期限があるということなんです。期限が来ると紙切れになってしまうという。

これが優待財布なんですけどね。手前に入っているのが期限間近の優待券ですね。8月過ぎると紙切れになるんで。これはキャンドゥ。配当利回り1%位です。あとはジーフットは65,000円位で株主になれますが、配当利回りも1.6%位です。あとはライトオン。8万円位で購入できて、3,000円相当の優待券がもらえます。

飲食店の優待券で人にごちそうして健康に

桐谷:今、私の財布の一番奥は、期限のない米券、ジェフグルメカード、JCBギフトカードが入っています。

飲食店の優待チケットは、いつも持ち歩いて、ひとりでは使いきれないから人にごちそうしています。人にごちそうしていると健康になるという統計的データがありまして。体内の炎症物質を減らすことができるそうです。あとは、1日3回人に親切にすると、長生きできるとも言われています。

私、今69歳なのですが、元気ですからね。

あとは、現金でごちそうすると私ももったいないと思いますし、ごちそうされたほうも、「あとでお返ししなきゃいけないかな」なんて、何だか悪い気がしませんか? でも、「優待券の期限が切れそうなんで付き合ってください」と頼むと、おごられるほうも気持ちいいですよね(笑)。

上野:優待券があると気持ちよく人間関係が築けるということですね。桐谷さん、本日はどうもありがとうございました。

(※)本記事に記載の株主優待の最低獲得金額は2019年8月2日時点の目安となります。

本コンテンツは2019年8月3日(土)開催のマネックス20周年特別イベントの書きおこし記事です(イベントの内容を一部抜粋して掲載しています)。
 

 

ライター 阿部桃子
出版社、テレビ局勤務等を経て、フリーランスの編集・ライターに。主なジャンルはビジネス・教育・子育て。AERAwithKids「子どものお金教育」「子育て世代の初めての投資」特集ほか、起業とお金をテーマに執筆することが多い。株主優待券好きの家庭で育ち、子どもの頃から映画鑑賞にお金を払ったことがない。