今週の月曜日、ダウ平均は767ドル安と今年最大の下落幅を記録した。5日続落でそれまでの下げ幅は累計で1500ドルにも達していたから、さすがに火曜日には反発した。しかし、上昇幅は311ドルとそれまでの下げの大きさに比べれば比較的マイルドだった。その火曜日の引けた時点で、S&P500の日足キャンドルチャートはこんな具合だった。

出所:Bloomberg

窓開けして下放れた大陰線の中に、陽線がすっぽり包まれた「はらみ足」だ。酒田五法では、「はらみ足」は分岐、すなわち転換点のサインで、次に放れたほうにつくのをよしとする。すなわち、「はらみ足」が出た翌日、相場が上放れたなら下げ相場の終了で反騰に向かうが、次が下に放れたらさらなる下げに突入していくことになる。

だから固唾を飲んで7日の相場を見守っていたが、結果はご覧の通り。

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同じような陽線が続いた。どう解釈するか。はらみ足継続だから、3日目の方向性でトレンドが決まると見るべきか。また、この陽線2つは「下方の並び赤」。上げ相場で上放れた「並び赤」は「最も強し」とされるが、下げ相場で下放れて「並び赤」が出た場合、ここから下放れたら、さらなる下落相場が待っている。なので、はらみ足継続であり、「下方の並び赤」でもあり、絶対に下放れは許されない状況だった。

で、急落から3日目の昨日は、こうなった。

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ものの見事に上に放れ、月曜の急落で空けた窓も埋めきった。一目均衡表で見ても、ザラバ中の安値(=下ヒゲ)は雲の下限を下回るがローソク足の実体は雲の中にとどまり、そして昨日の上げで雲の上に出た。調整完了と見ていいだろう。

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二番底の可能性を指摘する声が少なくない。実際、僕自身も、いったん大きな下げが起きると一回で底入れするケースはなく、二番底、三番底を探りにいくことが多いとよく述べている。ただ、問題は今回の下げが「大きな下げ」に当たるかということだ。確かに今年最大の下げではあったが、7月26日の最高値から200ポイント、率にして7%弱。スピード調整を入れたという感じだろう。

なにより長期金利の水準が低いため、金利対比のバリュエーション、イールドスプレッドが極めて株式に魅力的な水準にある。

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従来から指摘している通り、イールドスプレッドの限界ラインは3%だ。3%を切ってくると株価は大幅に調整を迫られる(昨年の2月と10月がその典型例)。現在イールドスプレッドは4%を超えている。これは昨年の年末と今年5月末 - すなわち株価が急落した直後と同じレベルにある。株価は最高値から7%弱調整しただけだが、金利が大幅に下がったからだ。

ブルームバーグテレビジョンのインタビューで投資会社オークツリー・キャピタル・グループの共同創業者ハワード・マークス氏は、米金融当局の先月の利下げは間違っていたと述べた。金融刺激策の拡大は資産価格をさらに押し上げ、貯蓄者に恩恵をもたらさずに富裕層をさらに豊かにすると語った。「利下げのプロセスは資産価格を膨らませる。資産を持っている人はさらに富を積み増すが、貯蓄が少ない人がリターンを獲得するのは一段と難しくなるだろう」。

ウォーレン・バフェットが絶大な信頼を寄せるマークス氏の言葉に間違いはない。僭越だが僕もそう思う。どうするべきか。つぎ込めるだけ、株式・不動産・金などの資産に投資を行うべきである。