G20で地政学リスクへの懸念が後退、日経平均が窓をあけて上昇

みなさんこんにちは。株式会社インベストラストの福永です。今週も窓についての解説ですが、先週末はG20での米中首脳会談やその後の米朝首脳会談など大きなイベントを無事通過し、窓をあけて株価水準が大きく切り上がる展開となりました。

ではどのような値動きになったのか、また今後どのように考えればよいのか確認していきたいと思います。

【図表1】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※埋まった窓は青色で表示、埋まっていない窓は赤色で表示

週末の6月29日に開催された米中首脳会談の後に対中追加関税の見送りが発表され、訪韓中に板門店を訪れたトランプ大統領と金委員長が面会しました。また、その後に急遽行われた米朝首脳会談では、非核化協議再開で合意しています。

地政学リスクへの懸念が後退したことも好感され、東京市場は7月1日に窓をあけて上昇して始まると、これまで上値の抵抗となっていた75日移動平均線や21,500円の水準を一気に上回って200日移動平均線に到達すると、200日移動平均線も上回って終えているのがわかります。

今回あけた窓を埋めることなく上昇が続くか

翌営業日の7月2日も小幅続伸となり、200日移動平均線上を維持する結果となっています。こうした状況から今回あけた窓をどう捉えるかが重要なポイントになります。

仮にコモンギャップ(普通の窓)と考えた場合、200日移動平均線上を維持できずに反落して埋めることが考えられそうですが、一方で、新しいトレンドの発生を示唆するブレイクアウェイギャップと考えた場合、1日にあけた窓を埋めることなく上昇が続き、5月7日と8日に下落してあけた窓を埋めるのではないかと考えられます。

ここで難しいのは、過去の値幅の範囲内に重点を置くのか、あるいはこれまで高値の目途となっていた株価水準に重点を置くのかで判断がわかれてしまうことです。

過去の値幅の範囲内ということで考えますと、6月4日に取引時間中の安値をつけてから株価が戻している仮定となりますので、コモンギャップと考えることができます。

一方、75日移動平均線や21,500円というこれまで押し返された株価水準に重点を置いた場合、窓をあけて一気にこれらの水準を上回っていることから、ブレイクアウェイギャップと考えることができます。また仮にブレイクアウェイギャップとした場合、前述の5月7日と8日にあけた窓を埋めることが考えられるのです。

日足で使われる主な移動平均線をすべて上回っている

では現時点で、どちらの窓と考える必要があるのでしょうか。私はブレイクアウェイギャップではないかと考えています。なぜなら、これまで押し返されていた75日移動平均線や株価水準に大きな意味があると考えるからです。

また、5日、25日、75日、200日と、日足で使われる主な移動平均線をすべて上回っているのもその理由の1つです。

従って、仮に200日、5日、75日移動平均線の上を維持するようであれば、5月7日と8日にあけた窓を埋めるのではないかと思われます。一方で4本の移動平均線のうち、200日や5日、75日を下回ってしまうようですと、1日にあけた窓を埋めてしまい、コモンギャップだったということになってしまうかもしれません。

果たして5月の窓を埋めるのか、あるいは反落してしまうのか、引き続き注目していきたいと思います。