2010年4月、中国政府は高騰している住宅価格を抑制するため、これまでで最も厳しい不動産抑制策を発表しました。この政策の影響で、4月以後の住宅価格上昇が鈍化し、取引量も大幅に縮小しました。しかし、8月と9月の取引量は再び回復してきたため、政策効果が薄まり、再び不動産価格が高騰する懸念が出てきました。そこで9月29日、中国政府は4月に発表された不動産価格の抑制策をしっかりと実施させるための追加策を発表しています。主な内容の1つは、初回住宅購入者を対象に、ローンを組む際に頭金として必要な金額を30%以上に引き上げる方針です。4月に発表された規制策では、90平方メートルを超える住宅を初回購入する場合の、頭金に必要な金額が20%から30%にまで引き上げられました。今回の政策はすべての初回住宅購入者を対象にしています。しかも、今回は30%を超える引き上げには上限を設けていません。

また、今回の政策では2軒目の住宅購入の場合、頭金比率を50%以上に、ローン金利を基準金利の1.1倍以上にする規定をしっかりと実施する方針を示しています。また、3軒目の住宅購入者に対しては、銀行に住宅ローン融資を停止させる方針を示しています。4月の規制策の時も同様の方針を示しましたが、この時は適応地域を不動産価格の高すぎる地域に限定したため、その曖昧さにより、政策の実施がなかなか行われませんでした。今回の政策はその実施範囲を全国に広げ、前回の政策を徹底的に実施させる意図です。そのほか、公共賃貸住宅の建設業者や持ち主に対する関連税金の免除や、不動産企業による土地の買いだめを回避する措置なども発表されています。今回の不動産追加策も強力で、不動産市場の沈静化が予想されるところです。

今回の政策発表前、中国本土A株市場では、不動産抑制策の更なる発表は懸念材料になるという見通しから不動産銘柄の株価は下落基調にありました。しかし政策発表の翌日には思っていたほど深刻な内容ではなく、政策が発表されたからには、これに続くさらなる規制策は当面発表されないだろうと考えられて、逆に不動産株は全体的に上昇しています。その一方で、香港上場の不動産銘柄は、発表前は不動産規制策の懸念による下落はなかったのですが、逆に発表後、全体的に下降しています。しかし、中国の不動産市場は長期的には有望な投資対象ですし、中国の株式市場は国慶節の祝日のために10月1日から7日まで休場ですが、休み明けに株価が上昇してくれば、それにつられて株価が上昇する可能性もあります。ともあれ、不動産株の株価が下がってくれば、そこは注目に値すると思います。