・4/2、ビットコインが急騰。14時時点で前日比20%上昇し、昨年11月以来の5,000ドルを突破。再度の金融緩和の影響や、動かない為替市場の代替になっている可能性も。
・日本でも、新たな交換業者の登録や、マネーパートナーズの仮想通貨関連子会社新設、SUICAに仮想通貨をチャージできるサービス検討の報道等がリスクオン・ムードを高めていた。
・しかし、まだ昨年の価格暴落のトラウマも残っており、暗号資産のユースケースもさほど拡大していないため、今回の急騰は“スピード違反”の印象が強い。
・昨年の暴落後の推移は、Mt.ゴックス事件後に酷似。その喩えでいくと、本格浮上にはまだしばらく時間がかかるとみる方が無難。一方、昨年の3,150ドルという安値は、17年の暴騰前の最安値レベルとほぼ一致。市場に力強さが戻ってきたことは好材料で、そろそろ下値が固まってきた感も。

ビットコインが急騰:一時前日比20%上昇で1BTC=5,000ドル突破

4/2、突然ビットコインが急騰した。4/2の14時時点で前日比20%程度上昇し、昨年11月以来の5,000ドルを突破した(図表1)。その後上昇ペースはやや落ち着いたものの、引き続き4,700ドル台で推移している。

 

価格上昇の背景には、米国が先月の金融政策決定会合(FOMC)で、金融緩和の方向に大きく舵を切ったことがあると思われる。また、依然として為替の変動率が低いことから、一部の余剰資金が暗号資産にボラティリティを求めるような動きもありそうだ。

日本でも、先週は、業界に新しい動きが相次ぎ、市場全体にリスクオン・ムードが高まっていた。3/25には、金融庁が、楽天ウォレットとディーカレットを新たに仮想通貨交換業者として登録した。次いで、マネーパートナーズグループが仮想通貨運営の子会社を設立すると発表した。また交換業者に新たに登録されたディーカレットが、SUICAに仮想通貨をチャージできるサービスを検討すると報じられた。

さらに、先週末、米SECからビットコインETFの審査延長が報じられたが、エイプリルフールのネタで「ETF承認か」といったフェイクニュースも出ており、全体に浮かれたムードが漂っていた。

今回の上昇は”スピード違反”だが・・・

しかし、市場の一般投資家には、まだ昨年の価格暴落のトラウマも残っている。例えば、先月行ったマネックスの個人投資家サーベイでは、「仮想通貨に投資したい」と答える人は27.5%に過ぎず、依然として個人投資家が慎重なスタンスであることが示されていた(図表2)。

 

暗号資産をどのように使っていくのか、というユースケースも、昨年以降さほど拡大したわけではない。このため、今回の急騰は“スピード違反”の感もある。

市場は、Mt. ゴックス事件後と同様の推移:そろそろ下値は固まってきた感も

昨年初頭の暴落後のビットコイン価格は、Mt.ゴックス事件から17年に復調するまでの足跡に酷似している(図表3)。直近の下値は昨年12月半ばの3,150ドルだが、これは、2018年初頭の最高値から8割下落した水準で、Mt.ゴックス事件後、復調前の最安値とほぼ同水準だった。

 

Mt.ゴックス事件後は、最安値を付けた2015年1月から2年程度かけて浮上した。その喩えでいくと、このまま一直線で上昇すると考えるのは現実的ではないかもしれない。

一方、市場環境のちょっとした変化で急上昇する力が市場に戻ってきたことは明るいニュースである。今日の勢いが続くとみるのは楽観的すぎるものの、そろそろ下値は固まってきた感がある。