8月23日、米プライベートエクイティのブラックストーン・グループは不動産開発業者の鷹君集団 (0041)と不動産開発について提携合意を達成したと報じられました。鷹君集団は2009年に購入した大連にある面積が28.6万平米の土地を開発し、高級ホテルとマンションを建設する計画ですが、ブラックストーンはこれに出資することになります。ブラックストーンの中国不動産に対する投資は2008年6月が最初でした。今回は2回目ですが、大きな注目を集めています。中国政府が2010年4月に厳しい不動産引締め策を出した後、不動産取引量が大幅に減少していますし、2010年下半期から下落する予測も多いです。この時点で、大手外資投資機関による中国不動産市場への投資が行われている点は興味深いところです。
調べてみると、ブラックストーンだけではなく、外資投資機関による中国不動産への投資は全体的に増加しています。2009年5月以後、外資による不動産投資の開発資金はマイナス成長でしたが、2010年6月からプラスに転じています。6月の外資投資金額は80.9億元で、4月と5月の金額合計を超えています。モルガンスタンレー、ゴールドマン・サックス、UBS、 マッコーリー、メリルリンチなどの国際投資機関はさまざまの形で中国不動産市場に参入していると伝えられています。
外資の投資加速の原因についてですが、一つは、中国政府の引締め策の実施によって、中国不動産企業の資金繰りが厳しくなり、外資に資金支援を求めていることがあります。2010年中間決算を発表した中国本土上場の不動産企業は63社あり、上半期までの負債金額の合計は5867億元もあります。資金繰りを改善するために、不動産企業はエクイティファンドや債券発行を通して、外資から資金を調達しています。外資企業もそれを機会として中国への進出を加速しています。
しかし、やはりいくら中国不動産企業から要請があったとしても、中国不動産市場の長期的成長に対して良い通しを持っていなければ、投資をすることはないでしょうから、依然として中国不動産市場に良い見通しを持っている外資企業は多いのではないかと思います。また、人民元切り上げ予想も要因の一つです。仮に不動産価格が横ばいだったとしても10年後、20年後に人民元レートが大きく切り上がっていれば、それだけで利益がでます。むろん、中国不動産市場の価格高騰とそれに対する政策の行方には、不透明な部分が多いですが、有望と考える外国人投資家がいて、なにより根本的な需要が大きいですから、中国の不動産市場は長期的にはまだまだ成長していく可能性が高いと考えます。転じて、不動産株を考えてみると、主要銘柄の株価も底入れし、悪材料はかなり織り込んでいると思われます。短期的な好材料にはまだ遠いかもしれませんが、長期的には需要が大きい一大有望消費市場であることは間違いないでしょう。