「省エネ・新エネルギー自動車発展計画(2011年~2020年)」によると、2020年、中国の新エネルギー自動車の保有量は500万台となり、ハイブリッド車を始めとする省エネ車の年間生産・販売量は1500万台以上となるとのこと。そうなると、2020年、中国のエコカー市場規模は世界1位の水準になります。この目標を達成するため、2011~2020年までの10年間、中国政府は省エネ車・新エネルギー自動車の技術開発と普及に1000億元以上の資金を投資する計画です。これにあわせ、中国大手自動車メーカーや中国3大石油会社を含む中国国有企業計16社により、2010年8月18日にEV業界団体が設立されました。

6月1日、国家財政部などの政府4部門は上海、深センなどの5都市でのエコカーの個人購入に対する補助金基準を発表。プラグイン型のハイブリッド車は1台当たり5万元、純電気自動車は1台当たり6万元の最高補助金基準が設定されています。その後、この優遇策に基づいて、深セン市はプラグイン型のハイブリッド車に1台当たり3万元、純電気自動車に1台当たり6万元の最高補助金基準を追加すると発表しました。これらの優遇策は中国のエコカーの商用化を大きく促進する見込みであり、電気自動車関連企業にとっては朗報でしょう。この発表を受け、電動車製造大手のBYD(1211)は電気自動車事業の拡大を加速し、2010年の生産量を従来の計画であった1000台を引上げる計画です。また、BYDとダイムラー・クライスラーの合弁会社が7月30日に深センで設立されました。この合弁会社はベンツの車体構造と安全性の面での専門技術と、BYDの自動車電池と駆動技術を活かせ、次世代の電気自動車を開発し、一台目の製品を2013年に発売する計画です。

中国の電気自動車業界のポイントは電気充電スタンドがどのくらいの速さで出来るのかということと、もしも中国が世界に先駆けて、国の力で電気自動車を推し進めることができれば、家電製品と同じような感覚で中国企業が世界に電気自動車を大量に輸出する時代がやってくるかもしれないということです。電気自動車の普及には電気充電スタンドの設立が不可欠ですが(だから前述の業界団体には中国の大半のガソリンスタンドを運営する中国石油や中国石油石化が含まれている)、それには莫大な投資が必要です。それを電気自動車が普及していない状態で推し進めなくてはいけないわけですから、これは国の圧倒的な力で一斉に推し進められる(そして資金力のある)中国でなければ、出来ないことかもしれません。そして、もしも将来的に中国が世界に先駆けて電気自動車業界を拡大出来れば、複雑な構造のガソリン自動車に比べ、比較的構造のシンプルな電気自動車は家電製品と同じように、中国が世界の工場になるようになるかもしれません。もちろんまだまだ先の話ですが、将来的にそうなる見通しがつくのであれば、BYD(1211)はもちろん、東風(0489)や重慶長安汽車(200625)といった大手自動車メーカーや、天能動力(0819)や超威動力(0951)、 光宇国際(1043)といったバッテリーメーカーに注目が集まるかもしれません。----- EXTENDED BODY: