目的があってお金を貯めるにしても、投資をするためのお金をつくるにしても、きりきりと節約していては、いつか挫折してしまいます。ならば、自分に合った「楽しく、無理なくお金を残す」方法を見つけ、それを習慣化できれば、無理なく貯蓄や投資に回せるお金がつくれるので、理想的です。

今回は、楽しくお金を残し、貯めたり投資したりしていくための方法について考えてみます。年明けから何を実行するか、考えてみてください。

何のためにお金を貯めたいのか、目的を明らかにしよう

お金を残して、何に使うのか。そのためにはいくら必要なのか。こういったことを明らかにしておくと、残せたお金を積み立てていく目的ができ、継続しやすくなります。

例えば、「老後資金を作りたい」と思っても、いったいいくらあればよいのか、わかりにくいですよね。でも、年金暮らしになると、平均して夫婦(※)で21万円の実収入があり、生活費は26万円かかります(総務省「家計調査年報(家計収支編)平成29年」調べ)。その差額5万円を65歳から95歳までの生活費を30年間分準備しようと思ったら、

5万円×12ヶ月×30年=1,800万円

1,800万円が必要です。加えて、介護費や医療費、リフォーム代や葬式代なども準備すると1,000万円ほど余分に必要です。つまり、約2,800万円が老後資金として必要であるというわけです。

これがもし、年金がもっと高いとか、もっと少ない生活費で暮らすことができるとなれば、もっと少ない金額で老後資金は足ります。

このように大体準備したい金額の目安を持ち、後はどのように貯めるか、です。コツコツ貯蓄してもよし、積み立てて運用していくもよし、です。

 

(※)夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯である高齢夫婦無職世帯の場合

家計の三分法でお金を管理する習慣を変えよう

金額の目安ができたら、どうすれば効率よく貯められるかを考えますが、ここで空回りをしてしまう人がいます。がんばっているのに「なかなか貯蓄ができない」となってしまうのです。

こういう時に役立つのは、支出を「消費」「浪費」「投資」の3つに分ける、家計の三分法(参照「自分軸は家計の三分法で作ることができる」)です。

貯蓄ができないという場合、家計の把握ができていないことが原因ですから、自分の家計は何にいくら払っているのかを把握することにも役立ちます。

この家計の三分法は継続していくと、買い物のときにも「この買い物は消費していいのかな」などと考えるようになります。これが習慣化すると、お金の流れが随分と変わります。消費が安定し、投資が増え、浪費が減っていくはずです。

また、支出削減を考えるときに、我慢することを優先させてはいけません。大切なものやこだわりを優先して、それ以外を削減していくことを考えましょう。大切なものやこだわりのあるものに順番をつけ、順位の高いものから優先して支出していきます。すると、下位のものは買う順番が来ないとか、もういらないと思えるものであったりして、次第に支出しなくなります。

このように自分なりの価値観で支出をコントロールできることを習慣化できれば、もう貯蓄体質となったといえるでしょう。ただ、本当は「浪費」かなと思っている支出を「消費」や「投資」に振り分けてしまうようであれば、意味がなくなります。

貯蓄をするにも順番がある

貯蓄法には様々な方法があります。先取り貯金(自動積み立て、貯蓄口座、タンス預金など)、つもり貯金(使ったつもりで貯金)、残った金額の貯金など、方法は様々です。ぜひ、ご自分に合ったやりやすいものを選びましょうと言いたいところですが、それには少し注意が必要です。

特に先取り貯金では、赤字や収支がぎりぎりであるという家計には、向きません。それは、せっかく先取りした貯金額を崩して生活していくことになりかねないからです。“貯金しているのに貯まらない”という、不思議なことが起こります。

ですから、お金を貯めていきたい場合は、まずは家計をしっかりすること。それができたら、家計から貯蓄に回せる金額を使い、自分に合った貯蓄をしていく、ということが、正しい順番です。

お金を貯める、増やすことを考えると、今は「投資」を真っ先に考える人もいるでしょう。ですが、お金の貯め方が投資だけということも危険です。生活を犠牲にして投資をすることになりかねません。お金を貯めて増やす順番は、

1.家計の見直しができ、貯蓄をしても生活が困らない
2.貯蓄ができ、万が一の時に支払うことが可能になる
3.投資

という順番が最適です。