2018年の振り返り

2018年は上下動の激しい年でした。日経平均株価は1月23日に24,124円をつけるなど順調に値上がりしましたが、そのあと急落に見舞われ、3月26日には20,347円をつけるなどおよそ2ヶ月で3,800円弱も値下がりする展開となりました。

その後反発に向かいましたが、5月下旬から9月中旬まで23,000円を高値とした長いもち合いが形成されたあと、23,000円を上にブレイクしてついに年初の高値を更新すると同時に10月2日には1991年11月13日以来およそ27年ぶりの高値をつけました。

ただ残念ながら、年始の値動きと同様に急落する結果となり現在に至っています。

このように高値をつけた時間が短く、その後はもち合いや下落が続く値動きとなってしまった場合、指数に連動する運用を行っている投資家のパフォーマンスは悪化していると考えられます。そうなりますと、株価が戻ろうとした時に戻り売りに押されることが考えられることになり注意が必要です。

日経平均株価(日足)
出所:ストックウエザー株式会社提供、i-chartより作成

2019年の相場展望1:中期のトレンド分析

そこで2019年の相場を考えるにあたって注目したいのが中期のトレンドです。ここでは週足を使って解説したいと思います。

日経平均株価(週足)
出所:ストックウエザー株式会社提供、i-chartより作成

週足には13週、26週、52週移動平均線が表示されていますが、すべての移動平均線が下向きに変化していると同時に、12月第1週はこれらの移動平均線に押し返されているのが分かります。

ただここで見過ごしてはならない重要なポイントは、高値が切り上がり、安値も切り上がる上昇トレンドを続けていることにあります。そのため、2018年3月の安値を割り込まなければ、上昇トレンドが継続していると考えることができるのです。

ただ上昇トレンドを続けるためには一定の条件をクリアしなければなりません。それは、一旦押し返された3本の移動平均線すべてを上回って維持しなければならないということです。

仮にこれらの移動平均線を上回って維持するようですと、下向きの移動平均線が上向きに変化すると同時に10月2日の高値を更新することも視野に入ってくるのではないかと思われます。

一方で反発しても12月第1週と同様に下向きの移動平均線に押し返されてしまうようですと、株価のもち合いが続いたり、3月の安値に接近したりすることが考えられ、買いポジションを持っている投資家は注意が必要になります。

また最悪の場合3月の安値を割り込んでしまうことも考えられますが、3月の安値を終値で割り込んでしまった場合は残念ながら下降トレンドが発生したと考える必要があり、余程良い材料が出てこない限り、2018年10月2日の高値を更新することは難しくなるのではないかと思われます。

2019年の相場展望2:長期のトレンド分析

続いては長期のトレンドを見てみたいと思います。

日経平均株価(月足)
出所:ストックウエザー株式会社提供、i-chartより作成

ここでは12ヶ月、24ヶ月、60ヶ月移動平均線を表示していますが、移動平均線と株価の位置関係、移動平均線の向きを確認したいと思います。移動平均線と株価の位置関係では、10月から12月までの3ヶ月にわたって12ヶ月移動平均線を下回って推移しているものの、24ヶ月移動平均線を終値では割り込んでおらず、下ヒゲを形成していることもあって24か月移動平均線がサポートになっていると考えられそうです。

続いて各移動平均線の向きですが、12ヶ月移動平均線は下向きに変化しているものの、24ヶ月、60ヶ月移動平均線は上向きを維持しており、24ヶ月移動平均線上を維持することができるかが2019年相場を考える上で重要なカギとなります。

仮に24ヶ月移動平均線上を維持するようですと、下向きに変化した12ヶ月移動平均線を上回ることが考えらえるほか、12ヶ月移動平均線が上向きに変化することも視野に入りそうです。そうなりますと、日経平均株価は上昇トレンドのなかのもち合いから高値に接近したり、上回ったりすることが現実味を帯びてきます。

その場合の高値の目途としては、2018年10月2日の取引時間中の高値から同年10月26日の同安値までの値幅(3,476円)の倍返しですと、10月2日の高値にこの値幅を上乗せした27,924円が目安となります。

また、この値幅の半分が上値乗せされた場合でも26,186円といった高値を更新した値が目安になりそうです。これはテクニカル分析とは離れますが、業績面から見ても12月14日現在の一株当り利益1,798円をもとに考えれば、PERが約14.5倍となり妥当な水準と言えるのではないかと思われます。

一方で24ヶ月移動平均線上を維持できずに割り込むようですと、2018年3月の安値に接近したり、割り込んだりすることが考えられ、残念ながら下降トレンドの発生に注意が必要となるのではないかと思われます。

そうしたなか、仮に3月の安値を割り込んだ時の目安となる水準を、フィボナッチリトレースメントを使って示しておきたいと思います。

フィボナッチリトレースメントとは、高値と安値の値幅から黄金分割比率に基づいて導き出した株価水準になります。今回示すのは、トランプ大統領が誕生した2016年11月の安値から2018年10月高値までの値幅を使ったものです。

それではそれぞれの値について見ていきましょう。2016年11月の取引時間中の安値が16,111円、2018年10月の高値が24,448円ですので、2018年3月の安値を下回った場合、この高値と安値の値幅のなかのフィボナッチ水準で2018年3月安値に近い値が最初の安値の目途となります。

そこでその目安となるのが半値押し水準となる20,297円です。さらにこの値を割り込んでしまいますと、61.8%押し水準である19,296円も視野に入るのではないかと思われます。

ただ現在買いポジションを持っている投資家は、ここまで下落するのを待っていたのでは損失が拡大してしまうことになりますので、週足をチェックするようにしてください。

たとえば、週足で下向きに変化した13週、26週、52週といった移動平均線を上回ることができずに押し返されるようですと、戻りの弱さから売りが優勢となることが考えられますので、買いポジションを持っている投資家はロスカットを行うと同時に下げ止まりが確認できるまで押し目買いを控えるようにする必要があると思われます。

まとめ

以上の分析から、今のところ2019年相場についても上昇トレンドが継続中と考えられるものの、2018年相場に起こった急落などが再び起こることが考えられます。また3月の安値を割り込んでしまうようですと、下降トレンドの発生も視野に入れる必要が出てきますので、これまで以上に慎重にかつトレンドと売買タイミングを確認しながら取引するようにしたいところです。