表の見方について広木が動画(約12分)で解説しています。

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PORTFOLIO OVERVIEW(22 Aug 2017)
今週のFX-1ポートフォリオは先週より若干大きくドルのネットロングを維持。主な理由は他の国より少しだけ相対的な成長要因が良くなったからである。とは言え、大きくではなく、ほんの少しではあるが。

今週サインが変わった通貨はない。すなわちロングもショートも継続である。ロング通貨は欧州ブロック(ユーロ、ノルウェー、スウェーデン)であり、それぞれ成長要因が極めて良好であることがその背景であることも変わらない。北欧通貨についてはバリュエーションも良好だが、一方ユーロについてそれは当てはまらない。実際のところ、われわれのモデルによればユーロはいくぶんか割高である。この点はECB高官が通貨に懸念を示していることと整合的である。

円はロング側のトップ通貨である。経済成長が引き続き良好で、(FX-1モデルの直接的なインプット・ファクターではないが)インフレの芽さえ密かに感じさせる動きとなっている。これだけ円が堅調であるにもかかわらず、である。これが続けば、日本の経済とマーケットの状況は潮目が変わることになるだろう。

ショート側は、豪ドルとNZドルのショート継続。前回のポートフォリオでkiwi(NZドル)は成長要因だけは少しポジティブであった(そのためショート幅は削られていた)が、今週はそれを維持できずにショート幅が拡大した。

今週の日程でメインイベントはなんと言ってもジャクソンホールだ。通常であれば、強いグローバルな成長、緩やかながらも改善しているグローバルなインフレ見通し、そして中国経済の安定はドル安につながるのものであろう。しかし、DeepMacroのファクターによれば、ここ数カ月のファンダメンタルズはECBのゲームプランよりFEDのゲームプランのほうがずっと整合的である。つまりECBが9月の政策理事会でテーパリングの議論を進めることより、FEDが引き締めとバランスシート縮小にこだわる可能性のほうがはるかに高い。これがわれわれがドルロングを継続することの背景である。

DeepMacro

DeepMacro社は、ビッグデータ技術を利用して、自動的かつリアルタイムにグローバルなマクロ経済を観察・分析し、これを基にマーケットの分析を行う米国のリサーチ会社です。詳しくは、こちらをご覧ください。

DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルの説明

概要

DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルは、DeepMacro 社のグローバル・マクロ・システムに基づき、G10通貨についてシステマティックなポートフォリオ戦略を提供するものです。通貨の変動を説明する様々な要因を捉え、DeepMacro 社のリサーチ・システムの膨大なデータを、流動性が高く割安なポートフォリオに変換します。

キーファクター:

成長要因:

強い景気サイクルにある通貨を買い、弱い景気サイクルにある通貨を売ります。この判断は別のモデル体系であるDeepMacro 社の「Growth Factor」に基づきます。「Growth Factor」は主要国のビッグデータを含む経済成長に関するリアルタイム・インディケーターです。

キャリー:

高いキャリーの通貨を買い、低いキャリーの通貨を売ります。しかし、高キャリーは高リスクでもあります。したがって、リスクに見合うだけのキャリーが得られる場合のみ、このファクターによる投資判断を行います。

バリュエーション:

割安な通貨を買い、割高な通貨を売ります。経済理論では、高い生産性の伸び、高い輸出価格、大きな経常黒字の通貨は高くなることが示されています。このモデルのバリュエーション・ファクターはこれらの要因にもとづき割高・割安の判断をおこないます。

グローバル・リスク:

投資家のリスク回避姿勢が強まった時には、いわゆる「セイフ・ヘイブン(安全な寄港地)」通貨を買います。DeepMacro社では金融市場の価格に基づいて市場のリスク選好度を見積もっており、「グローバル・リスク・インディケーター(GRI)」を算出しています。GRIが点灯した場合、モデルは日本円、スイスフラン、米ドルなどへの買いを指示します。

ポジション調整:

モデルは対米ドルで9通貨のポジションを表示します。モデルは各通貨への集中度制限などリスク管理のルールを適用し、最適化を行った結果としてポートフォリオを構築します。

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チーフ・ストラテジスト広木 隆の<今週の相場展望>とコラム「新潮流」とチーフ・アナリスト大槻 奈那が金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信する「アナリスト夜話」などを毎週原則月曜日に配信します。メールマガジンのご登録はこちらから